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2017年11月15日(水)

主張

獣医学部設置認可

「加計」疑惑の落着にはならぬ

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 林芳正文部科学相が先週末の大学設置・学校法人審議会(設置審)の答申を受け、岡山県の学校法人「加計学園」が愛媛県今治市に来年4月開設予定の獣医学部を認可しました。安倍晋三首相の「腹心の友」とされる加計孝太郎氏が理事長を務め、開設をめぐり「総理のご意向」「官邸の最高レベル」の発言など数々の疑惑が指摘される学部です。設置審や文科省が開設を認めても国民の疑念は解消されません。設置審は開設経過を検証しておらず、むしろ答申からは設置が適切なのか疑問さえ浮上します。認可は撤回し、経過の検証、疑惑の解明こそ必要です。

結論ありきの異常さ示す

 獣医学部の新設は52年ぶりです。家畜が減り、ペットなどを飼う人口も減少するので獣医師は不足していないというのが、獣医学部の新たな開設を半世紀以上認めてこなかった政府の説明でした。

 「加計学園」もこれまで何回も獣医学部の開設を計画したのに認められませんでした。ところが加計理事長と親しい安倍氏が首相に就任(2012年、第2次政権)した後に、規制を「緩和」する「国家戦略特区」が設置され、今治市が「特区」に指定されると、京都産業大学など他の大学を差し置き、獣医師が不足しているかどうかの検討も脇に置いて、「加計学園」の獣医学部開設がトントン拍子で進みます。文科省が内閣府からの発言を記録したとされる文書には、開設は「総理のご意向」だとか「官邸の最高レベルが言っている」と書き込まれたことが明らかになっています。文字通り「加計」ありきの経過です。

 首相は、「加計学園」が事業者として決まった今年1月まで同学園の獣医学部の計画自体知らなかったと国会で答弁しましたが、「国家戦略特区」の会議を議長として主宰し、加計氏と何度もゴルフや会食をしながら知らなかったというのは、とても通用しません。獣医学部開設は今治市の申請なのに、「国家戦略特区」の会議に「加計学園」幹部が出席・説明、それを内閣府が隠していたことが判明するなど疑惑は深まるばかりです。

 設置審の議論も、「加計学園」の申請(3月)を受けた5月の会合では実習施設の不十分さや高齢の教官が多いなど7項目の是正意見が付き、8月の会合ではいったん結論が先送りされたのに、総選挙が終わった途端、設置を認めると答申しました。獣医学部新設の要件として閣議決定した、既存の獣医師養成でない構想などの「4条件」との関係については設置審で審議されませんでした。問題点を指摘する声を無視し答申発表からわずか4日後に設置を認可した文科相のやり方も異常です。一連の審議経過の検証などとともに、文科相の責任が問われるのは当然です。

幕引き許さず徹底解明を

 首相は国会で何度追及されても口先で「誠実に」というだけでまともに答弁しません。加計氏の国会喚問も拒否しています。通常国会閉幕後、野党が要求した臨時国会開催要求も3カ月無視し、召集したら冒頭解散を強行し、徹底して疑惑隠しを続けています。特別国会では野党の質問時間の削減を要求、追及逃れを狙う姿勢を示しました。獣医学部設置が認可されれば、決着というわけにはいきません。認可は取り消し、疑惑を徹底して解明すべきです。


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