2017年11月15日(水)
加計獣医学部を認可
首相の疑惑 未解明のまま
林芳正文部科学相は14日、学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が申請していた獣医学部新設を認可したと発表しました。愛媛県今治市に来年4月、開学する予定です。新設をめぐっては、加計孝太郎・同学園理事長の友人である安倍晋三首相の「ご意向」が働いた疑惑は未解明のまま。安倍内閣が閣議決定した新設を認めるための条件に適合するかどうかも審査しておらず、国民の疑問を強引に押し切って認可した形です。
獣医学部の新設は52年ぶり。文科省は、獣医師行政を所管する農林水産省が獣医師の需給に不足はないと判断していることから、獣医学部新設を禁じています。国家戦略特区諮問会議(議長、安倍首相)が規制緩和による「特例」で新設を可能にしました。特区は安倍首相のトップダウンで決まる仕組みです。
この問題では、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと記した文科省の内部文書が発覚。文科省の前川喜平前事務次官も、官邸側から加計学園の獣医学部新設を進めるよう圧力があったことを証言しました。
これに対して官邸側の関係者は、「記録がない」「記憶がない」と国会で答弁。前川氏の証言を否定することができず、疑惑がいっそう深まりました。
安倍内閣は、▽既存の獣医師養成ではない構想▽既存の大学・学部では対応困難、など四つを新設の条件として閣議決定しています。この4条件に適合しているかどうか、文科省は「確認していない」としており、検証を欠いたまま政治判断による認可となりました。