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2017年11月9日(木)

主張

COP23の議論

温暖化対策の実効性を高めよ

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 ドイツのボンで国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)が、17日までの日程で始まりました。地球温暖化対策の新しい国際的枠組み「パリ協定」の発効から1年―。2020年に開始する同協定の実効性を高めるためのルールづくりの促進や、各国の温室効果ガスの削減目標を引き上げる仕組みの議論が焦点です。世界各地で気候変動による被害が相次ぐもとで、温暖化の進行を抑えるために参加国が役割を果たすことが求められます。

「迅速な行動」が課題

 COP23が開幕した6日、国連の世界気象機関(WMO)は、今年の世界の平均気温が観測史上3番目に高くなる見通しだと発表しました。命を奪う可能性がある熱波にさらされる人の数は2000年以降、1億2500万人増加したことも明らかにし、警鐘をならしました。

 会議では海面上昇による海岸浸食や塩害の被害を受けてきた南太平洋の島国フィジーが初めて議長国を務めます。同国のバイニマラマ首相は開会あいさつで「世界は、破壊的なハリケーンや火災、干ばつ、氷の溶解、農業を見舞う変化といった、食料安全保障を脅かす極端な気候変動の渦中にある」「世界に訴えたいのはパリで定めた方向性を維持することだ」と力説しました。温暖化に歯止めをかける「迅速な行動」は切迫した課題です。

 パリ協定は2020年以降の温暖化対策の国際条約で、平均気温の上昇を工業化前(1850年ごろ)に比べて、2度より十分に低く抑え、1・5度に抑えることをめざす目標を掲げました。今世紀後半の早い段階で温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする―森林や海などの吸収分を上回る温室効果ガスを排出しない―ことを決めるなど「歴史的合意」と評価されています。

 「先進国」だけでなく途上国を含むすべての国が削減目標をもって取り組む合意をしたこともパリ協定の特徴です。批准国の数は約170カ国にのぼります。

 今回の会議の任務は協定にもとづいて各国の主張を集め議論しながら、18年にルールの文書を策定する作業を進めることです。過去の工業化で温室効果ガスの排出を続けてきた日本など先進国が歴史的責任を踏まえ指導性を発揮し、すべての国が取り組みを強化できる仕組みを作る必要があります。

 6月にトランプ米政権がパリ協定脱退を表明しましたが、規約上脱退が可能になるのは2020年です。離脱表明に対抗し米国内の州政府、都市、大学、企業などがパリ協定の約束を守る意思を表明しています。米国の離脱に追随する国もなく、孤立するトランプ政権の立場も問われます。

削減目標の引き上げを

 日本の後ろ向きの姿勢は問題です。安倍晋三政権の温室効果ガスの削減目標は、30年までに「13年比26%減」です。これは国際的な基準である1990年比に直すと18%減にすぎません。抜本的な引き上げが求められます。

 パリ協定に逆行する石炭火力発電所の建設ラッシュを中止することは急務です。原発と石炭火力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけた14年の基本計画の撤回など、エネルギー政策の根本的な転換にふみきるべきです。


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