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2017年11月7日(火)

きょうの潮流

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 “石”のような成分ながら“綿”のような柔軟性に富む特徴をもつアスベスト。その粉じんを吸い込むと、長い潜伏期間のあとに肺がんや中皮腫などの病気を引き起こします▼「アスベスト被害は裁判をたたかう建設労働者だけでなく、身近に潜むリスクです。アスベストを使った建物が大量に私たちの身の回りに残されています」。こう警告するのは、中皮腫・じん肺・アスベストセンターの事務局長、永倉冬史さん▼欧米各国で1970年代から規制する流れが生まれたのに対し、日本は同時期に耐火、断熱の建材に大量に使用。法令で吹き付けなどの使用を中止したのは2006年でした。国がもうけを最優先する業界の肩をもち、労働者や国民の健康対策を後回しにした結果です▼いったい、どれぐらいのアスベスト含有の建物があり、除去対策をとったのか。国土交通省の調べで、ホテルや物販店など大規模建築物が4000棟残っています。業界の自主規制が行われた1989年以前の小規模建築物は約130万棟が推定され「全国的な対策状況について網羅的な把握はできていない」▼懸念されるのはどこでも起こりうる地震・災害時のアスベスト対策です。国が「建築物石綿含有建材調査者」を創設したのは2013年。全国で745人だけ▼チェック役が不足する中、永倉さんは「解体工事現場の掲示板を監視する」住民の“目”が重要だとアドバイスします。後始末を業界任せ、自治体に転嫁する国のやり方こそ転換が必要です。


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