2017年11月5日(日)
オスプレイ事故率3.27に
5年で1.7倍 政府の「安全」説明覆る
米海兵隊が運用する垂直離着陸機MV22オスプレイのもっとも重大な「クラスA」の事故率(10万飛行時間当たりの事故数)が、9月30日時点で、5年前の米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)への配備前に日本政府が公表した事故率の約1・7倍の3・27に増えたことが分かりました。海兵隊が3日、本紙の取材に回答しました。米海軍が10月に公表した海兵隊機全体の事故率も上回っており、オスプレイの事故率が海兵隊機全体より低いとしてきた政府の説明が根本から覆りました。
海兵隊は、損害額200万ドル(約2億2700万円)以上、または死者が発生するような事故を「クラスA」の重大事故に分類し、10万飛行時間当たりの「クラスA」事故の発生件数を「事故率」として表しています。防衛省が普天間基地配備前に公表した2012年4月時点のオスプレイの事故率は1・93で、当時の海兵隊機全体の平均2・45を下回っていました。そのため「事故率や件数は高い数字でないとみることができる」「安全性は十分に確認された」として国内配備を正当化してきました。
海兵隊によれば、オスプレイが試験開発を終えた03年10月から今年9月30日時点での総飛行時間は約30万6000時間。10万飛行時間当たりの事故率は12年比で約1・7倍の3・27となり、今年10月10日時点での海兵隊機全体の事故率の平均2・72を上回りました。
最近では8月5日にオーストラリアで墜落し乗組員3人が死亡。9月29日にはシリアで墜落し乗組員2人が負傷、機体が大破するなど事故が相次いでいます。政府が繰り返す「安全」説明に根拠がないことが浮き彫りになりました。
菅義偉官房長官は10月30日の記者会見で、防衛省が米側に事故率について情報提供を求めていると表明する一方、「事故率のみをもって機体の安全性を評価することは適当でなく、あくまでも目安の一つ」と開き直りました。
■昨年12月以降に発生したオスプレイの重大事故
2016年12月13日 空中給油に失敗。沖縄県名護市の浅瀬に墜落。5人が負傷。
17年7月11日 米本土で整備中に落雷事故。整備士が脳死。
同年8月5日 オーストラリア沖で揚陸艦への着艦に失敗し海中に墜落。3人が死亡。
同年9月29日 シリア国内で過激組織IS掃討作戦の支援任務中に墜落。2人が負傷。