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2017年11月2日(木)

第4次内閣

「国難」広げる安倍政権居座り

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 自公が総選挙で得た「数の力」で1日、第4次安倍内閣が発足しました。「森友・加計疑惑」を隠し、選挙後に狙う9条改憲も語らず、もっぱら北朝鮮問題と少子高齢化を「国難」とあおった安倍晋三首相の手によるこの内閣の顔ぶれは、8月3日の改造内閣と変わりません。安倍首相が政権に居座っていること自体が「国難」を広げています。


写真

(写真)安倍晋三首相が政権に居座っていることこそ「国難だ」と1日の官邸前行動で、安倍政権への怒りの声をあげる人たち

「北朝鮮のおかげ」

麻生氏 選挙利用あけすけに

 安倍首相は、北朝鮮対応で「対話を呼びかけても無駄骨に終わる」「いまは圧力の時だ」と繰り返しました。自民党も「この国を、守り抜く。」を選挙スローガンに掲げ、大宣伝しました。

 ところが、総選挙で「自民党大勝」の結果が出ると麻生太郎副総理兼財務相は「明らかに北朝鮮のおかげもある」(10月26日)と発言。「国難」とした北朝鮮問題を選挙で利用してきたことをあけすけに示したのです。

 しかも、安倍首相をはじめ、自民党幹部は誰も麻生氏の発言を問題にしようとしません。自民党の二階俊博幹事長は「ジョークでいった部分もあるだろうし、いちいちコメントするに至らない」(10月27日)とまったくの無反省ぶり。菅義偉官房長官は「北朝鮮への(政府)対応が選挙戦で評価された。そうした負託に応えて、しっかり対応していきたいという話をされた」(10月27日)と麻生氏の発言をねじ曲げました。

 しかし、「対話否定」論に立ち、米国の軍事的選択肢も支持する圧力一辺倒の安倍首相の姿勢は、軍事的緊張を高め、戦争につながる「国難」そのものです。この安倍政権の対応に、「政府の採っている制裁強化・圧力一辺倒、しかも軍事行動をも排除しないという対北朝鮮強硬姿勢は…日本の安全保障、国民の安全に深刻な危険をもたらしている」「少なくとも米側から軍事力を行使すべきではないという考えを、日本としても明らかにすべきである」(秋山昌廣・元防衛事務次官)「全般的な解決のためには交渉しかない」(藪中三十二・元外務次官)などの声があがっています。

全世代に負担増へ

消費税・医療・介護…次々

 選挙中、少子高齢化を「国難」とあおった安倍首相は、消費税10%の増税分の使い道を変え、「全世代型の社会保障」に転換すると吹聴してきました。ところが選挙が終わった途端に、「全世代直撃」の社会保障の負担増が明らかになっています。

 そもそも消費税は所得の低い層ほど負担率が高い、不公平な税制です。これを自民党は「特別な事態が生じない限りは予定通り上げる」(萩生田光一幹事長代行)と公言してはばかりません。8%への増税以降、家計消費が1世帯当たり月2万円も減っています。10%への増税そのものが経済に深刻な打撃を与えます。

 安倍首相は「少子高齢化が進むなか、子育て、介護の不安解消に政策資源を投入し、社会保障を全世代型へと転換する」(9月25日の記者会見)と訴えました。ところが選挙後、さっそく医療・介護や子育てなどの負担増計画が分かりました。

 医療では、75歳以上の患者窓口負担1割を2割に引き上げます。介護では、要介護1、2の人への生活援助を中心とした訪問介護を抑制。子育て世代に対しても、児童手当の所得制限を世帯合算で判定することや、特例給付5000円の廃止が狙われています。

 安倍首相が議長を務める「人生100年時代構想会議」では、“日本の社会保障は高齢者向けだから抑制する”という議論が堂々とされています。教育の無償化を言いながら、政策は奨学金のみ。しかも給付型はわずか2万人にしか支給しないというお粗末さ。国民の暮らしを「国難」におとしめる道です。

国会軽視のおごり

立法府の力そぐ野党質問減

 審議もせずに臨時国会を冒頭解散した安倍首相。さんざん「国難」を叫んだのだから総選挙後に、国会を開いて審議をするのかと思えば、与党が最初に示した特別国会の会期はわずか8日間で、所信表明演説も代表質問を行わないというものでした。

 これには、メディアも社説で、「国会軽視再び 『国難』をなぜ論じない」(10月27日付「朝日」)「第4次安倍内閣 国会軽視してはならぬ」(10月30日付「東京」)と批判。国民の反発も高まり、与党は会期を12月9日までの39日間と提案せざるを得なくなりました。

 ただ、国会を軽視する安倍首相のおごりはとどまるところを知りません。特別国会を開いた安倍首相が真っ先に手をつけようとしているのが野党の質問時間の削減です。野党の質問時間の削減は、国会の内閣への監視機能を弱め、国会を政府・与党の方針の追認機関に変えようとする狙いがあります。国権の最高機関である立法府の力を行政府がそぎ落とそうとする、まさに議会制民主主義破壊です。

 しかも、安倍首相は改造内閣を「仕事人内閣」などと言ってきましたが、8月3日の内閣改造後に国会で答弁した閣僚は、河野太郎外相、小野寺五典防衛相、加藤勝信厚労相、小此木八郎防災担当相の4人だけ。これには、自民党内からも「もし年内の実質審議を見送れば、内閣発足から来年1月の通常国会まで、5カ月間にわたって『改造内閣のほとんどの大臣が一度も答弁しない』という事態になる。過去20年、こんなことは一度も記憶にない」(自民党の山本一太参院議員の10月30日付のブログ)など懸念の声があがっていました。


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