2017年11月1日(水)
野党質問の削減提案
国政チェックを縮小させ民主主義の根幹揺るがす
1日召集の特別国会を迎え、安倍自公政権は総選挙で多数を得て「数の力」におごり、「森友・加計疑惑」の追及を回避するために野党質問の削減を狙っています。疑惑をめぐり世論調査では、大多数の国民が政府の説明に「納得できない」と回答。国民の負託に応えて国政をチェックしただすことが国会の役割であり、政府・与党の策動は国政チェックを縮小させ、民主主義の根幹を揺るがすものにほかなりません。
「今後の国会で質問を受ければ、しっかりと丁寧に説明したい」。森友・加計疑惑についてこう繰り返してきた安倍晋三首相は、「与党2割、野党8割」の質疑時間配分を見直し与党の持ち時間を拡大するようにとの自民党議員の要望を受けて、配分見直しに取り組むよう党幹部に指示。菅義偉官房長官も「各会派に議席数に応じた質問時間の配分を行うことは当然だ」と述べ、与党の持ち時間の拡大を当然視しています。
政府監視できない
しかし、議院内閣制のもとで、政府と与党は一体関係にあり、政府の政策や方針は自民・公明両党の合意にもとづき決定されていることから、与党は政府に対するまともな「監視役」とはなりえません。与党質問は、そのほとんどが政権持ち上げの“おうかがい質問”であるのが実情です。
各紙の社説でも、「野党質問は政権監視に必要不可欠だ」「与党議員の質問は問題点の指摘よりも、政権を持ち上げることに偏りがちだ」(東京・中日新聞、10月31日付)、「野党の質問時間を減らせば、政権をチェックしたり、追及したりする国会本来の機能が縮小する」(京都新聞、同)、「こうした見直しには反対だ」(「毎日」、29日付)と批判が相次いでいます。
立法府への干渉に
安倍首相は森友・加計疑惑の証人喚問などについて、「行政府」の立場にあるとして「国会のことは国会でお決めいただく」と逃げ回ってきました。野党に対する“質問封じ”では首相自ら指示まで出したことは、行政府による立法府への干渉であり、国会の権限を侵す異常な対応です。
また野党からは、自民党が見直しを求める「与党2割、野党8割」の時間配分について「自民党が野党時代、強力に要請をして今の配分比となった」(立憲民主党の長妻昭衆院議員、28日のツイッター)との指摘も出ています。野党時代に自らが要求したものを、与党になれば平然と覆すことに、ひとかけらの道理もありません。(中川亮)