2017年10月28日(土)
建設石綿訴訟 国・企業の責任認める
高裁で初 3億7000万円の賠償命令
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アスベスト(石綿)の曝露(ばくろ)が原因で健康被害を受けた神奈川県の元建設労働者と遺族89人が、国と建材メーカー43社に総額約28億円の損害賠償を求めた神奈川県の建設アスベスト訴訟第1陣の控訴審判決が27日、東京高裁でありました。
永野厚郎裁判長は、国と建材メーカーの責任を認めず請求棄却とした一審判決を覆し、国と建材メーカー4社の責任を認め、計約3億7千万円の賠償を命じました。高裁が判断を示したのは初。国の責任が認められたのは今回で7度目、メーカーの責任は3度目となりました。
国については、1981年1月1日時点で、事業主に対して労働者に防じんマスクを使用させるよう罰則をもって義務付けることと、作業場での掲示や安全教育の内容を改めなかったことは違法だとして、労働者39人に対する賠償責任を認めました。
建材メーカーについては、75年4月1日以降には、石綿粉じん曝露により石綿関連疾患を発症する危険があることや、当該の作業時には防じんマスクを使用する必要などを警告する義務があったと認め、▽エーアンドエーマテリアル▽ニチアス▽エム・エム・ケイ▽神島(こうのしま)化学工業―の4社に対し、大工など31人に対する賠償責任を認めました。
一人親方については、労働関係法令が保護するのは労働者だとして国の責任を否定しましたが、7人については、働き方などの実態から労働者として評価し、国の責任を認めました。国の責任が認められなかった14人は、建材メーカーの賠償責任を認めました。