2017年10月27日(金)
きょうの潮流
1カ月の残業がなんと159時間超。4年前に過労死したNHKの記者・佐戸未和さんの過酷な働き方を示しています。両親が労災を申請し、翌2014年に認定されました▼佐戸さんに適用されていたのは「事業外みなし労働時間制」。記者や添乗員など職場の外で働くことが多く、勤務状況の把握が難しい職種があてはまります。159時間まで時間外労働が可能としています。驚きです▼厚生労働省が定める過労死ラインは、80〜100時間です。それをはるかに上回る働き方が“合法”としてまかり通り、将来のある女性の命を奪ってしまいました。佐戸さんの勤務時間が突出していたのか、報道・制作現場全体の働き方が気になります▼佐戸さんの過労死についてNHKが公表したのは今月4日。夜9時のニュースで短くふれただけです。この間、電通の高橋まつりさんの過労自殺についてはニュースでたびたび取り上げ、「クローズアップ現代+」で特集していたのとは大違いです▼その後、佐戸さんの両親が記者会見。「事実が伏せられたままでは娘の死が風化してしまう」「私たちや娘の苦しみを背負う人が二度と現れないことを切に願う」と訴えました▼安倍自公政権が、長時間労働を野放しにしようとたくらんでいます。国会にはかろうとする残業代ゼロ法案。労働時間規制をなくす悪法です。NHKが試されます。佐戸さんの過労死を「重く受け止め、再発防止に全力を尽くす」というなら、その視点でしっかり報道することです。