2017年10月27日(金)
主張
経団連の政策評価
財界による政治の買収やめよ
“財界の総本山”と呼ばれたこともある日本経済団体連合会(経団連、会長・榊原定征東レ最高顧問)が23日、総選挙の終了を待ちかねたように、政党の「政策評価」を発表し、自民党などへの献金を会員企業に呼びかけました。榊原氏が会長になって4年連続です。「政策評価」は自民党、公明党の与党が、内政、外交両面で「成果を上げており、高く評価できる」と持ち上げ、与党への献金集中を会員企業や業界団体に促しています。経団連が自らの求める政策を示して政党を評価、献金をばらまくのはまさに買収であり、財界の政党買収はやめるべきです。
金権・腐敗政治の温床
個々の企業が政治家や政党に献金するのであれ、その集まりである業界団体や財界団体が献金するのであれ、営利が目的の企業や団体が献金するのは「見返り」を求めるからで、企業献金は文字通り、金権・腐敗政治の温床です。献金に見合った見返りがなければ、それこそ企業の経営者は「背任」の罪にも問われることになります。
企業がおおっぴらに政治家に「ひも付き」の献金を行えば、汚職や疑獄事件になります。さすがにそれはまずいというので1950年代半ばから経団連があっせんして政治団体(当初は経済再建懇談会、その後は国民協会、現在は国民政治協会)を通じて献金するようにしたり、政治家個人への献金は制限したりするなどの対策がとられてきましたが、企業献金そのものが続く限り、金権・腐敗政治の根は絶てません。だいたい国民が政党や政治家に献金するのは主権者としての参政権の一部で、どんなに経済力があっても投票権のない企業が金にものをいわせて献金し、政治を動かすのは国民の政治参加を妨げるものです。
金権・腐敗政治が後を絶たないため、経団連も再三献金のあっせん中止に追い込まれました。しかし、会員企業の企業献金そのものは中止せず、あれこれ理由をつけてあっせんを復活させました。現在は4年前会長に就任した榊原氏が「政治との連携強化」を強調していることもあって、経団連が掲げる要求にもとづいて政党を「評価」、事実上与党に献金を集中させる仕組みが強化されています。
今回発表された「政策評価」でも、経団連の要求には投資の促進や「規制改革」、法人税改革など企業に都合のいい項目が並び、自民党がこれに応えて消費税の10%への増税や法人税減税、原発再稼働などを推進していることを「成果を上げている」と「高く評価」しています。「よりいっそう強力に取り組むことを期待する」と、だめ押しする念の入れようです。
見返り求め「社会貢献」か
経団連はこうした献金の促進を“民主政治を維持していくためには相応のコストが不可欠”だとか「企業の社会貢献の一環」などと合理化します。しかし、自らの身勝手な要求のために献金し、見返りを求めておきながら「社会貢献」は通用しません。消費者や労働者が生み出した企業の利益で国民の参政権を脅かしていることへの自覚や反省もありません。企業・団体献金は直ちにやめるべきです。
自民党などは企業から巨額の献金を受け取りながら、税金でまかなう政党助成金も受け取っています。企業・団体献金も政党助成金も禁止、廃止が必要です。