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2017年10月26日(木)

安倍政権 秘密法の危険まざまざ

仁比質問後に指定変更 「取扱注意」を「省秘」に

自衛官情報漏えいえん罪

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 秘密保護法が2013年12月に国会で強行成立してから、まもなく4年。同法には、多くの懸念が指摘されていますが、これを先取りする事件が、安倍政権のもとで起きています。自衛官情報漏えいえん罪事件にみてみました。(矢野昌弘)


写真

(写真)中谷元防衛相(左)に会談記録の文書を手渡す仁比聡平議員=2015年9月2日、参院安保法制特委

 秘密保護法は、「特定秘密」にされた情報を“漏えい”すると、懲役10年の重罰を科します。

 しかも、この「特定秘密」を決めるのは、その情報を持つ行政機関です。そのため、行政機関が国民に知られたくない情報を「特定秘密」にして、隠される危険があります。

 当時の国会審議で安倍晋三首相は「恣意(しい)的な(秘密)指定をさせない、そういう仕組みは既に重層的なものができている」(13年11月、衆院特別委員会)としていました。

文書否定も

 ところが、安倍内閣の実際の態度は真逆です。

 戦争法案をめぐる国会審議が大詰めを迎えた15年9月。日本共産党の仁比聡平参院議員は、防衛省の内部文書を示して、追及しました。

 文書は、河野克俊統合幕僚長と米軍高官との会談記録です。記録には、安保法制(戦争法)について与党内の協議すらなかった時期に、河野氏が同年夏ころまでに成立すると言明したことが記されていました。

 仁比氏が同月2日に追及すると、中谷元・防衛相(当時)は「確認できておりません」と答弁。その後、安倍首相も中谷氏も、「同一のものの存在を確認できなかった」などと否定していきます。

 文書を否定する一方で、大貫修平3等陸佐(42)に“漏えい”の容疑をかけ、捜査を指示していたのです。

 大貫さんが国に損害賠償を求めた裁判の訴状によると、河野統幕長の会談記録は「取扱厳重注意」の文書として、14年12月に関係部署に配布されたといいます。会談記録は、業務用パソコンで関係部署の職員は閲覧が可能なもの。大貫さんも国会で告発した文書と違う体裁の会談記録を目にしていました。

 しかし、仁比氏が追及した翌日に、防衛省は会談記録を「省秘」に指定。同月5日には、会談記録を破棄するよう省内で指示がだされたといいます。

 大貫さんの代理人である伊須慎一郎弁護士は「国会審議の火消しに、秘密指定して文書の存在を消すという異常な対応だ」と批判します。

嫌疑不明で

 安倍首相らの国会答弁では「存在しない」文書を“漏えい”したとして自衛隊法違反(機密の漏えい)の容疑=今年9月に嫌疑不十分で不起訴処分=で捜査された大貫さん。

 中央警務隊と東京地方検察庁からの聴取では、漏えいしたとされる「秘密」が何か説明されず、嫌疑不明のまま、取り調べを受けました。

 伊須弁護士は「漏えいの嫌疑となった『秘密』を明らかにすると、政府が虚偽答弁したことが明確になるため、警務隊も検察も避けている。『秘密』を特定しない以上、大貫さんに嫌疑をかけること自体、許せない」と指摘します。

 秘密保護法違反事件の捜査では、大貫さんと同じような事態が予想されます。

 同法に詳しい井上正信弁護士は「秘密保護法違反で、“共犯”とされた場合など、本人になんの秘密か知らされず、弁護権を行使できないまま、捜査や起訴されることがありえる。同法が持つ重大な問題だ」といいます。


 自衛官情報漏えいえん罪事件 防衛省情報本部に勤務する大貫修平・3等陸佐(42)が2015年9月以降、身に覚えのない“機密漏えい”の容疑で、陸上自衛隊中央警務隊から「国会に流出した文書を印刷したのはおまえだ」として長時間の取り調べや自宅や実家への家宅捜索や配置換えなど理不尽な仕打ちを受けた事件。大貫さんは今年3月、国に損害賠償を求める裁判をさいたま地裁で起こしています。


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