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2017年10月25日(水)

主張

総選挙と安倍政権

虚構の多数で暴走許されない

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 22日投開票された総選挙結果について、安倍晋三首相や二階俊博自民党幹事長ら政府与党首脳から「安倍政権が信任された」と、改憲や消費税増税に拍車をかける声が上がっています。とんでもありません。300近い自民党の議席は小選挙区制中心の選挙制度のゆがみに助けられたものです。希望の党の旗揚げや民進党の「分裂」という状況に加え、臨時国会の冒頭解散で「森友疑惑」「加計疑惑」などを隠ぺいし、論戦では改憲や消費税増税、原発推進なども語らず手にした「虚構の多数」です。「信任された」と称しての数を頼んだ暴走は絶対に許されません。

議席と国民世論の乖離

 自民党など与党の獲得議席が決して国民の意思を正しく反映していないのは新聞などの投票所出口調査で、「安倍政権が続くのがいい」は46%、「別の政権に代わるのがいい」は47%(「朝日」23日付)と拮抗(きっこう)した数字になっていたことからも明らかです。選挙中、内閣支持率が下がり続けた新聞の世論調査もありました。国民の多数が総選挙で安倍首相を支持し、政権を委任したわけではありません。

 安倍首相や二階幹事長は、「安倍首相への信任は十分頂戴した」(二階氏)とか、首相が目指す改憲についても「『速やかに実現しよう』となるはず。一歩前進だ」(安倍氏)などと発言していますが、それは間違いです。

 自民党は33%の得票率(比例代表)で全議席の61%を獲得しましたが、その3分の2以上は1人区の小選挙区での選出です。他候補より1票でも多ければ当選できるため、大多数の投票は議席と結びつかない死票となり、国民の意思は議席に反映しません。しかも今回は、「定数是正」の名で多くの小選挙区で区割りが変更された後の最初の選挙でした。希望の党が名乗りを上げ、民進党が希望への合流を決定し、それまでの野党共闘が分断に追い込まれたことも、与党を利するとともに、国民の政治不信を広げました。

 重大なのは今回の解散・総選挙が、もともと野党が憲法にもとづいて要求した「森友」「加計」疑惑などの解明のための臨時国会を一切審議抜きで冒頭解散し、選挙中は「すでに説明した」と押し通して、国民に審判の材料を示さないままだったことです。自民党は総選挙公約の重点項目に結党後初めて改憲を掲げましたが、安倍首相は街頭演説などではほとんど説明しません。政権が推進する原発再稼働についても語りません。政権に復帰してから5年にもなる経済政策「アベノミクス」の失敗も認めようとせず、再来年10月からの消費税増税も「使い方」を見直すとごまかしに終始しました。

 これでは改憲や消費税増税が国民に支持されたといえないことは明らかであり、安倍政権が虚構の多数にあぐらをかいて暴走を加速するのは断じて容認できません。

新たなたたかいの始まり

 安倍首相は開票翌日「ここからが新しいスタートだ。政策を実行し、結果を出していきたい」と改憲などに強い意欲を示しました。しかし首相が取り組むべきはまず「森友」「加計」疑惑の解明であり、改憲や消費税の増税強行、原発再稼働の加速ではありません。

 総選挙の結果を受けた第4次安倍政権の発足は、政権の暴走との新たなたたかいの始まりです。


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