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2017年10月22日(日)

消費税、経済改革、北朝鮮、野党共闘…

BSフジ「プライムニュース」

志位委員長、縦横に語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は20日放送のBSフジ番組「プライムニュース」に出演し、総選挙の争点となっている消費税10%増税や党の財源提案、北朝鮮問題、さらに市民と野党の共闘などについて縦横に語りました。その要旨を紹介します。聞き手はフジテレビの反町理・解説委員長、竹内友佳アナウンサー、政治アナリストの伊藤惇夫氏です。


消費税―いまの焦点は上げるか否か、将来的には廃止をめざす

 「凍結」と公約する政党もあるが、なぜ共産党は「中止」なのか―消費税10%増税をめぐってこんな質問が。志位氏は、消費税が所得の少ない人ほど負担が重くのしかかる逆進性をもつ最悪の不公平税制であり、8%増税で家計消費が1世帯平均22万円も減ったと強調しました。

 さらに「これだけ消費が落ち込んでいるもとで増税をかぶせてしまったら、暮らしも経済もダメになる。そうなると税収も結局上がってこなくなる悪循環に陥る」と指摘。「(消費税率を)下げることは考えないのか」(反町氏)との質問に、「いまの焦点は上げるか上げないか。ただ、先々の見通しとして私たちは、負担能力に応じた負担=累進課税への税の組み替えをやり、消費税を軽減する。最終的には消費税を廃止して、かつての(物品税の)ような個別の間接税にしていく展望をもっています」とのべました。

内部留保―働くルールをつくり社会に還流させよう

 番組では、大企業優遇税制の見直し、富裕層への証券課税の強化など、消費税に頼らずに当面の財源として17兆円を確保できるとした党の財源提案がフリップで紹介され、志位氏が質問に答えながら詳しく解説。この中で、大企業がため込んでいる内部留保に課税すべきかどうか問われ、志位氏は次のように答えました。

 志位 私たちも(内部留保の課税は)検討したことがあるんです。ただ、「二重課税」という批判がどうしても出てくる。それにどういう対応をするかは、よく考えなければなりません。もう一つ、安定財源にするのは難しい。内部留保をどう社会に還元するかという点では、どんどんお金が内部留保としてたまる仕掛けそのものを正していかなければならないと思います。

 何でたまってしまうのか。一番大きな原因は、労働法制の規制緩和をやりすぎたことです。正社員を派遣、パートなど非正規社員に置き換えていった。そうすると賃金が下がる。労働コストをどんどんカットしていく仕組みをつくってしまった。そのために、もうかっても賃金には回らず、内部留保に積み増すということが起こっているわけです。

 これを社会に還流させようと思ったら、非正規社員を正社員にする、長時間労働を是正するなど、働くルールをつくる。下請けいじめをやめさせるなど公正な取引のルールをつくる。そうすることによって、(内部留保を)働く人と中小企業に還流させていく。そのことによって、内需をあたためて経済を健全な成長の軌道にのせていく。これが一番合理的なやり方だと思っています。

 富裕層や大企業の優遇税制の見直しの党提案を受けて反町氏は「共産党はアンチビジネス(反企業)ですか」と質問。志位氏は次のように答えました。

 志位 大企業優遇税制の見直しをやれば、もちろん短期的には(大企業の)持ち出しは多くなりますよ。しかし、それによって社会保障の充実、教育の充実にお金が回れば、社会全体の需要が増え経済が成長する。そうすれば、(企業の)ビジネスにとっても中長期にはよくなっていくんですよ。

 労働の規制緩和だってそうです。日本の電機産業が何でこんなに競争力を失ったのかといえば、正社員をどんどん非正規に置き換える、派遣や期間社員に置き換えることをやってきたために、本当の意味での競争力がなくなってしまった。

 ですから、大企業にとって短期的には負担になるかもしれないけど、社会的な責任や負担を果たすことによって、中長期で見れば企業の先も開けてくるといえると思うんです。ですから、私たちは決して“アンチビジネスの党”ではありません。

北朝鮮問題―まず米朝が対話に踏み出し、6カ国協議で非核化をめざす

 北朝鮮の核・ミサイル問題の解決策を問われた志位氏は、経済制裁強化と一体に「対話による平和的解決」をはかることが唯一の解決策であり、日本政府はそのためのイニシアチブを発揮すべきだと提案。これを受けてやりとりになりました。

 反町 北朝鮮は、日本はまったく視野に入っていないという意見があります。日本が果たせる役割は何だと思いますか。

 志位 「対話による平和的解決」をどこから具体的にやるかといったら、現状ではやはり米朝からなんですよ。米朝が、まず今の危機を打開するために直接対話に踏み切るべきだと。日本政府としては、そういう方向に向かうようにアメリカに働きかける外交努力がいると思うんですね。米朝が対話に踏み出し、当面の危機打開で一定の合意ができた場合は、今度は(米国、北朝鮮、日本、韓国、中国、ロシアの)6カ国で(合意を)担保していく。そして、6カ国協議によって(朝鮮半島の)非核化の方向に進んでいくというような段取りが一番ベストだと思います。

 反町 米朝対話がスムーズに運ぶために、日本ができることは対話をしろと呼びかけることなのか、それとも国連の場で決められた経済制裁をきちっと実行するように圧力をかけることなのか。この2択のように聞こえますが。

 志位 2択じゃないんですよ。国連安保理決議は、経済制裁の強化を決めたんですけども、その決議そのものの中に、「対話による平和的解決」が入っているんですよ。ですから一体に両方やるべきなんです。

安倍首相は、米国の軍事力行使を容認する態度をあらためよ

 志位氏は、米国は軍事的選択肢を持ちつつ、外交的解決の模索もあると指摘。反町氏が「日本政府としては、米朝対話をより現実的にならしめるために圧力強化を言っているのではないか」と問いかけたことに志位氏は答えました。

 志位 経済制裁の強化という意味での圧力強化は必要だと言っているんです。しかし、(安倍首相は)「対話のための対話は意味がない」と対話を否定しちゃっているじゃないですか。

 もう一つ重要なことは、トランプ政権はいま北朝鮮に対して、「すべての選択肢がテーブルの上にある」と言っている。この選択肢の中には、外交的選択肢もある。しかし、軍事的選択肢もある。軍事的選択肢とは何かといえば、先制攻撃なんですね。

 トランプ大統領は、この前の国連総会で「(北朝鮮の)完全な破壊」とまで言った。非常に問題な発言だと思うんです。そのあとに安倍首相が発言して、「『すべての選択肢がテーブルの上にある』という米国政府の姿勢を強く支持する」と言った。世界の首脳の中で、「強く支持」するとまで言った発言を、私は聞いたことがありません。つまり、軍事的選択肢をOKですと言っちゃっているんです。

 秋山昌廣さんという橋本内閣で防衛次官を務められた方が、「米朝対立のエスカレーションがこのままさらに進めば、それだけ誤解や誤算による偶発的な軍事衝突の可能性が高まるだろう。そうなれば、それは第2次朝鮮戦争に発展し、韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらす。このため、少なくとも米側から軍事力を行使すべきではないという考えを、日本としても明らかにすべきである」と最近発言されています。

 私も、この前の日本記者クラブ主催の党首討論会で安倍さんに聞いたんです。「あなたは『すべての選択肢がテーブルの上にある』という米国政府の立場を支持すると言ったけれど、これはきわめて危険だ」「アメリカが先制攻撃に踏み切ったときにどうするのか」と。かつて1994年に北朝鮮核危機が起こりました。そのときにクリントン政権が巡航ミサイルで、寧辺(ニョンビョン)の核施設を攻撃する一歩手前までいったんです。これを止めたのは、当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領の直談判でした。

 反町 徹底的に反対しましたよね。

 志位 徹底して反対した。いま止めなきゃいけないのは、日本なんです。先制攻撃に踏み切ったらだめですよ、と米国に対して言うべきだと安倍さんに聞いたんだけど、絶対に止めるとは言わない。逆にOKを出しちゃっているということになりますと、仮に万が一、米国がそういう戦争に踏み切ったときには、日本も一緒に戦争をすることになる。その戦禍は日本全土に及びます。ですから、こうしたアメリカの軍事力行使を容認する態度はあらためるべきです。

「対話」は決して北朝鮮への譲歩でも、核武装を認めることでもない

 志位氏が提起した米朝の直接対話をどう実現するか。伊藤氏は「北朝鮮は自国を核保有国として認めろと言う条件は絶対に取り下げないと思う。それをもしのんだうえで米朝対話ということになったら、北朝鮮の非核化は永久にできない。対話はいいが、その前提条件をどうクリアするか。かなり難しい」とコメント。やりとりになりました。

 志位 難しいです。もちろん、おっしゃるように、北朝鮮が対話の入り口の条件として、「核保有国として認めろ」ということを条件にすることを、認めるということは絶対にやっちゃいけない。これをやってしまったら非核化の道は閉ざされてしまいますからね。ですから、前提条件なしに、北朝鮮を対話のテーブルにつかせなければいけない。

 伊藤 ただ、北は自分の国を守るためには核は絶対に手放さないというのは考えてみれば常識。そういう状況のなかでどうやって対話の糸口をみつけるのか。安倍総理が働きかけたって簡単にいきません。

 志位 簡単にはいかないでしょう。ただ、ほかに方法はないんです。戦争ができるかといったらできない、絶対にやっちゃいけない。94年の(核危機の)ときは、(北朝鮮は)まだ核兵器を持っていない段階です。あの時には、仮に第2次朝鮮戦争が起こったとしても、通常兵器による武力衝突だったでしょう。それでもおびただしい人が犠牲になるということで金泳三大統領が止めたんだけれど、今は(北朝鮮は)核、ミサイルを持っている。そういうもとで戦争になったら本当に破滅になる。これをいかに回避するかと考えた場合、対話しかないんです。対話をやれば必ずうまくいくという保証はない。しかし他に道はありません。

 反町 「対話をやってきたから、こんなことになった」「20年間ずっと対話してきた」という人もいます。

 志位 安倍首相は、「対話をやってきた結果こうなった」「対話の試みは無に帰した」という。たしかに北朝鮮が94年の「枠組み合意」、あるいは2005年の6カ国協議の共同声明を反故(ほご)にして核開発を進めたのは事実です。ただ、問題はその後なんです。オバマ米政権になって、いわゆる「戦略的忍耐」という方針をとった。どういう方針かというと、北朝鮮が非核化に向けた意思と行動を示さない限りに対話に応じないという、対話拒否論でした。対話拒否をずっと進めてきたこの数年間に、(北朝鮮の)核・ミサイル開発がうんと進んだ。野放しにしちゃったんです。

 もちろん経済制裁の圧力は必要ですが、国際社会が、どんな困難があっても対話への努力を続ける。北朝鮮のこれ以上の軍事的挑発を止める、核開発を止めるための外交努力を続ける。そのなかで、初めて(核放棄にむけた)打開の道が見えてくると思います。

 「ミサイル・ディフェンス(ミサイル防衛)は反対か」と反町氏。志位氏は「軍事で身構えたら、向こうもさらに軍事の強化になる」と指摘し、続けました。

 志位 ミサイル・ディフェンスの議論を突き詰めていきますと、結局、それを推進している側からいっても、果たして有効性があるのか、(ミサイルを)落とせるのかという問題になってくる。一斉に(ミサイルを)撃たれた場合に、撃ち落とせるかという問題です。こういう議論を続けていくと、結局、「敵基地攻撃」をという議論になる。それでも守ることはできないということになると、日本も核武装ということになる。結局、こういう議論にずっといってしまっていいのか。いかに軍事対軍事のエスカレートを止めて、緊張を緩和する方向にもっていくようにするかというのは知恵の絞りどころだと思うんです。

 竹内 対話といいますが、どんな話を具体的にするのでしょうか。

 志位 まずやるべきは危機を打開する。つまり軍事衝突を起こさない。北朝鮮がこれ以上の軍事挑発をやらない。お互いに軍事的な対応のエスカレートはやらないという形で、いまの危機を打開するという合意にまず到達することが大事だと思います。

 これは(米元国防長官の)ペリーさんをはじめとして、アメリカの(安保・外交の)識者が、トランプ大統領あてに、前提条件なしの(米朝)対話に踏み切るべきだという書簡を出しました。(書簡では)対話は決して北朝鮮の核武装を認めることではない、対話は譲歩ではないと(のべています)。それが、軍事衝突を止める唯一の手段じゃないかと(主張している)。

市民と野党が力を合わせれば、自民党を倒せる

 「自民党が今回の選挙で一番恐れていたのは、民進党と共産党との選挙協力。これは強敵になるとみていたのは間違いない事実」とのべた伊藤氏は、民進党の「希望の党」への合流の受け止めを聞きました。

 志位氏は、逆流は起こったが、昨年の参院選、新潟県知事選、今年の仙台市長選で野党統一候補が勝利したように「市民と野党が力を合わせれば、自民党を倒せるというのは事実として示されている。一時の逆流で(市民と野党の共闘は)決してなくならない」と力説。民進党の「希望」への合流決定のさい、共闘の立場に立つ政党、議員、候補者と連携・協力する表明を行ったとのべました。さらに、志位氏は、野党共闘の大義のために67の小選挙区で候補者を降ろすことにしたことについて、「そういう判断をしたことは絶対に間違いじゃなかったと思っています」「悔いなしと思っています」とのべました。

 これに関し反町氏は、「他党と政権の政策協定をして、憲法の問題、自衛隊の問題も含めてのむ用意があるのか」と質問。志位氏は答えました。

 志位 のむというのでなく不一致点は横におく。横においてどういう処理をするかというのはそれぞれ決める必要があります。

 しかし、当面の大事な一致点はたくさんあります。安保法制の問題、憲法の問題、原発の問題、「アベノミクス」を転換するという問題など、いろいろな問題での一致点があります。そういう当面の問題について、きちんと協定を結んで、野党連合政権をつくる。私たちはその目標でやってきました。

 民進党の崩壊がおこったもとで、いま新しい野党3党(共産党、立憲民主党、社民党)でたたかっていますが、今度の選挙でこの3党で政権をとるというのは条件がありませんね。ただ、次のステップとして、私たちは、いまの野党3党で共通して掲げている政策を実行するために政権をつくるという意思は持っています。

 反町氏が「(希望の党に合流するという)前原さんの判断はどう思ってますか」と尋ねたのに対して、志位氏は、つぎのようにのべました。

 志位 前原さんの判断は、大きな背信です。これは、野党4党として何度も党首会談でつぎの総選挙においては「できる限りの協力」をするという合意があるわけです。とくに安保法制は憲法違反だから廃止する、立憲主義を回復するという合意があるわけです。それを一方的に反故にしてしまう行為ですから、私たちは政党間の信義にもとる行為だと、民進党に強く抗議しました。

野党陣営はちゃんと対抗軸を持って選挙にのぞんでいる

 「ぶれない政党ですよね、共産党は」と評した伊藤氏は、「長い歴史をもつ共産党から見て、1992年の日本新党(結党)以降、新党が50、60と生まれ大半が消えていった新党の失敗は何か」と質問、志位氏は、「結局、自民党に代わる、理念的・政策的な対抗軸がないままの合従連衡はもたないということです。それはもう証明されている」と指摘。伊藤氏は「安倍政権を打倒しようと、各政党が協力関係を組み連合政権みたいなのをつくろうとする場合も、びしっとした理念がまずなければいけないのでは」と問いかけ、志位氏は次のように答えました。

 志位 今回は、野党3党として、政策協定まで結ぶ余裕がなかったんですけども、(3党はそれぞれが)「市民連合」のみなさんと7項目の合意をしているんです。第1項目は、安倍政治の下での憲法9条改定は認めない。二つ目は、憲法違反の安保法制、秘密法、共謀罪は白紙撤回する。三つ目は、福島原発事故の検証のないもとでの再稼働は認めないなどなどです。

 ですから私は、今度の選挙でも、野党陣営はちゃんと対抗軸を持って選挙にのぞんでいると思います。ただ、もっとこの内容を発展させていくために、野党陣営としてもっと努力が必要だと(思います)。政策協議をやって、どこで一致するのか、一致しない点はどう処理するのかという点をつめないといけない。新しい国会が構成されましたら、ぜひやっていきたいと思っています。

 最後に志位氏は「わが党の決意」として、「力あわせ未来ひらく」と手書きしたフリップを掲げて主張しました。

 志位 この2年間、市民と野党の共闘の道に踏み出してきました。確かな成果をあげてきたと思っています。自民党政治を倒すには、いろいろ違いはあっても横において、一致点、大義のもとに力を合わせて結束することが未来をひらく一番の力になります。この道を進みたい。


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