2017年10月19日(木)
アベノミクス成果と誇るが
公金ジャブジャブ60兆円
株高“演出”の異常
東京株式市場で株価が上がっています。安倍晋三首相は「アベノミクス(安倍政権の経済政策)の成果」だとしていますが、公的資金が支える「官製相場」です。公的年金基金と日銀が直接、間接に保有する国内株式は時価で約60兆円にのぼり、国内株式市場の1割近くを占める異常事態です。(山田俊英)
金持ちは恩恵 格差広がる
アベノミクスで株式市場に投入している公的資金は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日銀が買い入れる株価指数連動型上場投資信託(ETF)です。
時価総額9%
GPIFの公表数値と東証株価指数から推計すると、GPIFが保有する国内株は現時点で時価約39兆円。また、日銀が購入したETFは時価約21兆円と推計されます。合計60兆円。国内株式市場の時価総額の9%になります。
安倍政権は2014年10月、GPIFの国内株による運用比率をそれまでの12%から25%に引き上げることを決め、株式市場への公的資金の投入を倍加しました。日銀は「異次元の金融緩和」でETFを買い入れていますが、16年7月に買い入れのペースを年6兆円に拡大しました。ETFは株式で構成される投資信託です。日銀は、ETFを買うことによって間接的に大企業の株式を保有しています。
海外投資呼ぶ
巨額の公的資金の投入は「株価が下がらないという安心感を市場に与えている」と市場関係者は言います。安倍首相は「官製相場」を演出するとともに、2度にわたってニューヨーク証券取引所を訪れ、日本への投資を呼びかけました。10月第1週の株価上昇はもっぱら海外投資家の日本株買いのためでした。ただ、海外投資家は15年以降、日本株売りに転じ、17年も1月から9月までの合計で「売り」が「買い」を6898億円上回りました。その一方で、日銀は年6兆円のペースでETFを買い、株価を支えています。
株価の上昇はこうした株価つり上げ政策の結果です。恩恵を受けるのは大企業や富裕層であり、株を持たない庶民との格差はさらに広がっています。
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