2017年10月17日(火)
きょうの潮流
東京電力福島第1原発事故が起きてから6年7カ月が過ぎました。政府は先月末に廃炉に向けた工程表を公表。事故の影響によるガレキの新たな状況が判明したため、作業を3年遅らせる分野がありました▼最も困難とされるのが、事故で溶け落ちた核燃料の取り出しですが、いまだに性状など正確な状況は不明です。「廃炉終了まで30〜40年後」の道筋は見通せません▼にもかかわらず安倍政権は、事故を「終わったこと」にして再稼働を推進しています。自民党の公約には、はっきり書いています。「原発は活用し」「再稼働を進めます」と。そのことに、だんまりをきめ込んでいるのが安倍首相です▼福島市内での第一声をはじめ、他の原発立地地域でもそうです。「触らぬ神に祟(たた)りなし」ということなのか。安倍政権の暴走に対する国民の批判をかわそうとのねらいが露骨です▼再稼働反対の国民の意思は根強いものがあります。エネルギー政策を議論する政府の有識者会議でも最近、「再稼働反対は賛成の2倍」という世論調査の資料が紹介されたくらいです。この傾向は事故後「変わらず推移」とも▼安倍政権は原子力規制委員会の「お墨付き」を再稼働の口実にしています。事故時の住民の避難計画さえ審査対象外で、国際的な標準に達しない規制委の新規制基準を「世界最高レベル」と偽ってです。お墨付きのゆるさは、あの東電に原発再稼働の「適格性」があると認めたことに象徴されています。安倍政権の争点隠しにもノーを突きつけるときです。