2017年10月17日(火)
重力波天体 光で初観測
中性子星合体 すばるなど望遠鏡
国立天文台すばる望遠鏡(米ハワイ島)など世界各地の望遠鏡が、重力波源の天体を光(電磁波)で観測することに初めて成功しました。日本の重力波追跡観測チームが16日夜、公表しました。米欧の重力波望遠鏡チームが検出した中性子星の合体で発生したとみられる新タイプの重力波源を追跡観測し、明るさの変化をとらえることに成功。元素の起源の謎に迫る成果も得られました。
今年のノーベル物理学賞を受賞する米国の重力波望遠鏡「LIGO」(ライゴ)に加え、欧州の「Virgo」(バーゴ)が8月17日に検出した重力波で、信号の特徴から中性子星同士の合体によるものと分かりました。
重力波検出は、一昨年9月以来5例目。過去4例の重力波源はいずれもブラックホールの合体で、光では観測できませんでした。
検出の通報を受けた世界中の70を超える望遠鏡や天文衛星が、重力波源に照準を向け、さまざまな波長域で追跡観測しました。
すばるのほか、名古屋大学と鹿児島大学のIRSF望遠鏡(南アフリカ)など日本チームは、15日間にわたる観測で、可視光で急速に減光する一方、赤外線では長期間輝く様子を確認しました。
中性子星合体をめぐっては、合体時に放出される中性子が材料となって金やプラチナなどの重い元素が合成されるという仮説が有望視されていました。今回の減光パターンは、その仮説による理論予測と一致。観測チームは、天文学の大きな謎に迫る観測的証拠が得られたとしています。