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2017年10月15日(日)

「自公とその補完勢力」対「市民と野党の共闘」

“二極対決”党首討論で明確に

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 総選挙公示日を前後して与野党党首による討論がテレビやインターネット番組で行われました。一連の党首討論で、「自公とその補完勢力」対「市民と野党の共闘」という“二極対決”の構図や、安倍暴走政治に正面から対決する日本共産党の立場が明確になりました。

解散のわけ説明できず

疑惑に「国会で」「だまされた」

写真

(写真)日本記者クラブ主催の党首討論で発言する志位和夫委員長(右から2人目)=8日、東京都千代田区

 討論では、今回の総選挙となった臨時国会冒頭解散の理由を安倍首相が一切説明できませんでした。首相とその関係者の関与が明白となっている「森友・加計疑惑」隠し解散であることがはっきりしたのです。

 安倍首相が解散の理由にあげた「少子化対策」「北朝鮮対策」について、日本共産党の志位和夫委員長は「それは解散理由にはなるかもしれないが、冒頭解散の理由にはならない」(8日、フジテレビ「新報道2001」)と批判。安倍首相はなぜ冒頭解散かは語らず「『森友・加計』隠しではない。選挙でお答えさせていただく」(8日、日本記者クラブ討論会)と返すのが精いっぱいでした。

 安倍首相の「疑惑隠し」は討論を通じて露骨に。志位氏が、選挙で答えるといいながら街頭演説で疑惑に一言も触れていない問題をただすと、安倍首相は「街頭演説で説明するより、国会の場で問われれば説明させていただきたい」(9日、TBS「NEWS23」)。野党や司会者からの追及に耐え切れず、中野正志・日本のこころ代表に助け舟を求める場面もありました。

 森友学園の国有地値引きの関与が問われている安倍昭恵首相夫人については、「(妻は)だまされた」(11日、テレビ朝日「報道ステーション」)とまで言い訳しました。

 志位氏は、昭恵氏と加計学園の加計孝太郎理事長という「一番肝心なキーパーソン2人が口を開いていないことが問題だ」と両氏の国会招致を要求。安倍首相がとっている態度は「2人のことを間接的に言っているだけ。直接話法にすれば疑問が氷解するはず」(9日、TBS)と提起しました。

北朝鮮に圧力一辺倒

戦争法で戦争の当事国に

 北朝鮮による核・ミサイル開発問題に、圧力一辺倒で対応している安倍政権の危険性と、その打開策を示す日本共産党の対比が鮮明になりました。

 討論でも安倍首相は、北朝鮮との対話を否定し、圧力強化を繰り返しました。

 志位氏は、米朝の軍事的緊張が高まるもとで偶発や誤算から軍事衝突が起こり、戦争へ発展する危険を指摘。米朝が危機打開のための直接対話に踏み出すことを提唱し、日本政府に対し経済制裁の強化と一体に「対話による平和的解決」のイニシアチブを発揮するよう求めてきました。

 安倍首相が、先制的な軍事力行使を含む「すべての選択肢がテーブルの上にある」という米国の立場を支持している点を唯一ただしたのが志位氏でした。

 志位 先制的な軍事力行使で対応したら、破滅をもたらす戦争になる。先制的な軍事力行使は絶対にやるべきではないと、米国に求めるべきだ。

 首相 すべての選択肢がテーブルの上にのっている、この米国の方針を支持している。(8日、日本記者クラブ)

 さらに、志位氏の論戦で、安倍首相の主張とはあべこべに安保法制=戦争法と北朝鮮問題が重なることで米国の戦争に日本が引き込まれる危険が明らかになりました。志位氏は、国民が知らないうちに安倍政権が戦争法を発動し、北朝鮮を警戒・監視している米艦船に「防護」や「給油」を行っていたことを指摘。「米国が先制的な軍事力行使に乗り出せば、自動的に日本の自衛隊が参戦することになる。国民の知らないところで日本が戦争の当事国になり、結果として日本全土に戦禍が及ぶ」(9日、TBS)と訴えました。

消費税10%押し付け

社会保障費の削減を自慢

 くらしと経済に深刻な打撃を与える消費税を10%に引き上げるのか、増税をきっぱり中止し、富裕層・大企業に応分の負担を求めるのか。ここでも対決構図は鮮明です。

 志位氏は、安倍首相が消費税増税で子育てや教育を支援すると言いだしたことを、国民の切実な願いを逆手にとって増税を押し付けるものだと批判。8%増税後、家計消費が前年同月比でプラスになったのが41カ月中4カ月にすぎず、1世帯当たり22万円も落ち込んだことを示し、10%増税の危険を明らかにしました。(8日、NHK)

 安倍首相は「伸びていく社会保障費に安定財源を得なければ対応できない」と正当化。

 志位氏は、富裕層への証券課税の強化や大企業優遇税制の見直しなどで、10%への引き上げに匹敵する財源が生まれることを示し「政治の姿勢を正せば、消費税に頼らないで財源はつくれる」と訴えました。

 安倍首相は、約1兆円の社会保障費の自然増分を毎年5千億円以下に圧縮してきたことを「むだ遣いをなくしている」(8日、日本記者クラブ)と自慢し、統計を都合よく利用してアベノミクスの実績を宣伝しました。

 志位氏は「首相は大事な数字を二つ言っていない」とし、安倍政権下で働く人の実質賃金が10万円も減り、家計消費も1世帯当たり22万円も落ち込んでいることを指摘。大企業の内部留保が400兆円を超え、上位40人の富裕層の資産が2千億円から4千億円に膨らんだことも示し「1%の富裕層、大企業の政治から、99%の国民のための政治に切り替えが必要だ」(8日、フジテレビ)と力説しました。

原発ゼロを無責任と

「希望の党」は再稼働容認

 東京電力福島第1原発事故でいまも6万8千人が避難生活を強いられているにもかかわらず、安倍首相は「原発ゼロは責任あるエネルギー政策とは言えない」(8日、NHK)と言い放ちました。

 「希望の党」の小池百合子代表は、2030年までの原発ゼロをいうものの「再稼働は是としている」と容認し、原発を永久化するための核燃サイクルについても「核燃サイクルの存続か否かという点は、総合的に考えていくべきだ」とあいまいです。(8日、日本記者クラブ)

 志位氏は「原発問題の最大の試金石は、原発の再稼働を認めるか否か、ここにある」と強調。どの世論調査でも国民の5割から6割が再稼働に反対していることを示し「この国民の声を受け止めるべきだ」と迫りました。

 志位氏は、安倍首相が世界一厳しいと繰り返す原発の規制基準について、ヨーロッパでは設置が主流となっている「コアキャッチャー」の設置も義務付けられていないなど「新たな安全神話だ」と批判。行き場のない核のごみの問題もあげ「再稼働はやめて、止めたまま廃炉に進むべきだ」と迫りました。

補完勢力と9条改憲狙う

阻止へ市民と野党で反撃

 自民党の総選挙公約に「憲法に自衛隊を明記する」と書き込んだことについて、安倍首相は、自衛隊違憲論で自衛隊員や家族が肩身の狭い思いをしている現状を変えることが目的だと主張。「いまの憲法でかかっている制約はそのまま残す」(7日・ネット党首討論、9日・日本テレビ「news every.」)といいました。

 志位氏は、後からつくられた法律が優越するという「後法優越原則」によって、戦力不保持と交戦権否認を定めた9条2項が残っても自衛隊を明記した後法が優越し、無制限の海外での武力行使に道を開き、憲法違反の安保法制が合憲化されることを明らかにしました。

 志位氏が「安倍内閣の憲法9条改定には反対だという一点で力を合わせよう」と訴えると、社民党の吉田忠智党首も「米国の戦争に巻き込まれる危険が極めて高くなる」と強調。立憲民主党の枝野幸男代表も「安保法制を追認することになる。海外で自衛隊が活動できるような憲法改正にくみすることはあり得ない」と述べました。(8日、NHK)

 なおも「2項の制限は残る」とごまかす安倍首相。志位氏は、これまで政府が、2項があるから海外での武力行使や集団的自衛権は行使できないといってきたことを示し「別の項目で自衛隊が明記され、この項目に即して法律をつくれば、自衛隊がなんでもできるようになる。2項は空文化=死文化する」と重ねて反論しました。

 一方、9条改定をともに公約に書き込んだ「希望」と日本維新の会は「不磨の大典にはしない」(希望・小池氏、9日、日本テレビ)など補完勢力ぶりを発揮しています。


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