2017年10月15日(日)
主張
憲法70年と総選挙
改憲阻み、9条生かした日本を
大激戦の総選挙は、自民党が公約で自衛隊を明記する「憲法改正」を公然と位置づけ、希望の党や日本維新の会が9条を含む改憲を掲げるなど、改憲問題が大きな争点となっています。安保法制=戦争法など違憲立法の強行をくりかえし、明文改憲への企てを強める安倍晋三政権に退場の審判を下すとともに、改憲を阻止し、9条を生かした日本をつくる転機にできるかどうか―。今年は日本国憲法が施行され70年の節目の年です。歴史的な総選挙での国民の選択はいよいよ重みを増しています。
自民公約で初めて重点に
安倍首相が5月の憲法記念日に、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」憲法を2020年に施行したいと表明したことほど、憲法ないがしろ姿勢をあらわにしたものはありません。首相が期限を切って条文まで挙げ改憲の意思を示したのは初めてであり、首相らの憲法尊重擁護義務を定めた99条を投げ捨てた暴走です。国民の批判を浴びて、首相は「日程ありきでない」とごまかしますが、改憲への執念は全く変わっていません。
それは総選挙の自民党公約で自衛隊明記などを列挙した「憲法改正」を重点項目に格上げしたことからも明らかです。根っからの改憲・タカ派の安倍首相ですが、これまでの選挙公約で改憲は小さい扱いでした。今回の公約に首相の改憲への並々ならぬ「決意」が盛り込まれたことは明白です。
自民党の前身の日本民主党が1955年の総選挙で9条改定を掲げたことはありますが、自民党が総選挙で改憲を旗印にするのは初めてです。自民補完勢力も「憲法9条をふくめ憲法改正論議」(希望の党)、「9条改正」(日本維新の会)を公約にしており、この選挙が9条にとって重大な意味をもつことを浮き彫りにしています。
ところが安倍首相は、選挙の街頭演説で改憲問題を語りません。自ら力を入れる改憲について国民に一番語らなければならない選挙遊説で一言もないのは、あまりに不誠実で、異常です。
安倍首相は過去3回の国政選挙でも街頭では経済問題ばかりを語り、選挙が終わると秘密保護法、戦争法、「共謀罪」法の違憲立法を強行してきました。今回も同じように国民をごまかそうというのか―。卑劣なやり方で年来の野望を果たそうとする首相の策略を絶対に許してはなりません。
9条に自衛隊を明記する改憲は単に存在する自衛隊を憲法上追認することだけにとどまらず、9条2項は空文化=死文化され、無制限の海外での武力行使に道を開くことになります。戦後70年余の日本の歩みを逆転させる改憲を、きっぱり断念させる国民の審判を下すことが必要です。
野望を打ち破る審判こそ
戦後繰り返された改憲策動を国民は何度も阻み、9条をはじめとする憲法を生かす政治を求めてきました。変えるべきは憲法ではなく、憲法をないがしろにした政治です。「安倍改憲」に対決する市民と野党の共闘は揺るぎなく広がっています。反戦平和を掲げ貫いてきた日本共産党は共闘と運動の発展に力を尽くしています。憲法と日本の命運がかかった選挙で市民と野党の共闘勝利、日本共産党躍進を勝ち取り、改憲勢力のたくらみを必ず打ち破りましょう。