2017年10月13日(金)
きょうの潮流
ヘリの飛行音を構内で聞く。それは私にとって日常だった。でも、もうその音は日常ではない―。2004年8月、沖縄国際大に米軍のヘリが落ちたとき、当時の職員が証言しています。米軍基地は生き死にの問題になったと▼日米地位協定によって大学の自治も日本の主権もふみにじられた、あの夏から13年。いまも残る黒焦げのアカギの木の前で開かれた今年の集いで学生の代表が訴えました。「沖縄の戦争はまだ終わっていない」▼恐怖の記憶が色あせるどころか新たにすり込まれる。11日夕、沖縄の東村高江で大破、炎上した米軍ヘリCH53Eは沖国大に墜落したヘリの後継機。県内では昨年末にも名護市の沿岸に欠陥機オスプレイが落ちたばかりでした▼やんばるの自然を壊すな、住民の命と安全を守れと米軍北部訓練場のヘリ着陸帯建設に反対する運動を続けてきた東村高江。最近も訓練の音がひどかったと話す住民の一人は「私たちが危ぐしていたことが本当に起きた。安倍首相がいう負担軽減がいかに口先だけのものか」▼くり返される米軍の事故やむごたらしい事件。翁長知事は今回の事故現場でそれを思い返しながら語りました。「悲しい、悔しい、そして怒り。このような状況を国が沖縄に強いているのが“国難”だ」▼米国にものも言えないどころか、民意に背を向け、基地のない沖縄をつくるために立ち上がった住民たちを弾圧する。こんな理不尽なことがいつまで続くのか。うずまく感情の矛先は政権に向かっています。