2017年10月11日(水)
「みちびき」4号打ち上げ
巨費投入と軍事化の懸念
三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10日、内閣府の準天頂衛星システムの測位衛星「みちびき」4号機を、種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケットで打ち上げました。4機体制により、日本では常時3機から測位データを受信できるようになります。内閣府は来年度中にデータの配信を開始する予定。市民生活の向上や産業に役立つとされる一方、巨額の国費投入の継続や軍事化の面から懸念されます。
準天頂衛星システムは、米国が運用するGPS(全地球測位システム)を補完・補強する、日本独自の衛星測位システム。1、2、4号機は、日本からオーストラリアの上空を「8」の字を描く特殊な軌道(準天頂軌道)に、3号機は赤道上空の静止軌道に配置されます。2032年度までの4機体制の開発・整備・運用にかかる予算は2800億円を超える見込み。
政府は、日本周辺でGPSなしでも測位可能な“日本版GPS”の実現に必要な7機体制を23年に構築すると宇宙基本計画で決めており、さらに巨額の国費が投入されます。7機体制は、確実な利益を得たい宇宙産業界が要望してきたもの。宇宙インフラの整備という新たな巨大公共事業が、大きな国民負担として継続することが心配されます。
GPSは、ミサイルや無人軍用機の誘導にも不可欠。日米同盟の強化の観点から両政府は、GPSと準天頂衛星システムとの連携を位置づけています。