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2017年10月9日(月)

フジテレビ「新報道2001」、NHK「日曜討論」

志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は8日、フジテレビ「新報道2001」とNHK「日曜討論」に出席し、各党の党首と総選挙にのぞむ構えや争点について討論しました。


解散・総選挙にどうのぞむか

安倍暴走政治を退場に追い込み、政治を国民の手に取り戻す

 解散・総選挙にどうのぞむか―。安倍晋三首相は「北朝鮮の脅威や少子高齢化にどう対応していくのか」、希望の党の小池百合子代表は「1強政治に選択肢を提供する」などと述べました。志位氏は次のように述べました。

 志位 今度の選挙最大の争点はずばり、安倍暴走政治をこのまま続けていいのか、ここにあると思っています。この5年間、安倍自公政権がやってきたことは何か。

 安保法制、秘密保護法、共謀罪、すべてが憲法違反の法律です。これを強行した。こんなに憲法をないがしろにしてきた政権はかつてありません。

 それから沖縄の新基地建設を強行し、原発の再稼働を進めている。こんなに民意を踏みつけにしてきた政権はかつてない。

 森友・加計疑惑、こんな異常な国政私物化疑惑にまみれた政権もかつてない。

 憲法を壊し、民意を踏みつけにし、国政を私物化する。こんな暴走政治を続けていいのかが問われると思います。

 これに対し私たちは、市民と野党の共闘の体制をつくってきました。必ず勝利したい。日本共産党としては、850万票、15%以上を比例代表で獲得して、小選挙区でも勝って躍進を果たしたい。安倍政権を退場に追い込んで、主権者である国民の手に政治を取り戻す選挙にしていきたい。

 また、総選挙後の首班(首相)指名について聞かれ、志位氏は次のように述べました。

 志位 3党で連携・協力してたたかっています。共産党と立憲民主党と社民党の3党は、市民連合のみなさんと政策協定を結びました。

 「安倍政権のもとでの9条改定は許さない」「安保法制、秘密保護法、共謀罪―違憲立法は廃止する」「福島原発事故の検証のないままでの再稼働に反対」など、7項目の合意を結んで一緒にたたかっています。選挙結果をみて、3党で首班を決めていくということになるのではないかと思っています。

冒頭解散

疑惑隠し以外の何ものでもない

 「新報道2001」ではコメンテーターの北川正恭早稲田大名誉教授が「なぜ解散する必要があったのか。国会審議でやらなければいけないのに、なぜテレビでやるのか」と、安倍首相に疑問をぶつけました。安倍首相は北朝鮮の脅威、消費税増税分の使途の変更を挙げ、国民の力を得るために信を問うと答えました。志位氏は次のように批判しました。

 志位 安倍さんはいろいろと解散の理由を言いましたが、これは解散の理由になるかもしれないけど、冒頭解散の理由にはならない。私たち野党は、6月22日に臨時国会の召集を憲法53条にもとづいて要求しました。徹底的な国政私物化疑惑の究明をやろうと。これを3カ月以上ほったらかしにしておいて、召集したかと思ったらその日に解散する。これを問題にしています。なぜ冒頭解散なのか、「森友・加計疑惑隠し」以外の何物でもありません。

消費税10%

家計も経済も壊す―増税そのものの中止を

 2019年10月からの消費税10%への引き上げについて議論となり、安倍首相は「消費の落ち込みを緩和したい」、希望・小池氏は「個人消費が冷え込んでしまうので増税は凍結すべきだ」、立憲民主党の枝野幸男代表は「将来財源から逃げないが、予定通り進めるのは反対」、社民党の吉田忠智党首は「不公平で逆進性の強い消費税の引き上げは反対」と述べました。志位氏は次のように語りました。

 志位 私たちは、消費税10%への増税そのものを中止すべきだと考えています。安倍さんがいわれた教育、子育ては国民の切実な願いだと思いますが、それを逆手にとって増税を進めるということは、私たちは認めるわけにはいきません。

 15年に8%にしたためにどういうことが起こっているか。増税後41カ月たちますが、家計消費が前年同月比でプラスになったのはたった4カ月です。37カ月はずっとマイナスが続いている。総理は、私と国会で議論した際に、「増税への影響は一時的だ、ワンショットだ」と言われましたけど、3年半たっても消費不況が続いているわけです。1世帯当たりでみると22万円、この3年半で(家計)消費が落ち込んでいる。こんなに消費が落ち込んでいるもとで増税をやれば、家計も経済も壊すことになる。

 私たちは10%を中止して、「アベノミクス」で大もうけをあげている富裕層や大企業に応分の負担を求める。そういう税制改革によって財源をつくるべきだと提案しています。

 安倍首相は「上げることができる状況をつくっていきたい」と答えるだけでした。

消費税に頼らなくても財源はある

 さらに、10%への引き上げは自民、公明、民主の3党合意だとの指摘が出され、小池氏や維新の会・松井一郎代表が「身を切る改革」をやってからだといって引き上げを否定しなかったのに対し、志位氏は次のように指摘しました。

 志位 「財源といえば消費税」という考え方から抜け出す必要があると思うんです。私たちは、消費税の増税に頼らないで社会保障と教育の財源をつくることができるという具体的提案をしております。

 たとえば、株(取引)に対する税が軽い。そのために所得が1億円を超えますと逆に税負担率が下がってしまうという不公平がある。この富裕層に対する優遇税制を正せば1兆円出てきます。

 それから研究開発減税など大企業に対する特別の優遇税制があるために、法人税の実質負担率は中小企業19%、大企業12%と逆転しているんですね。ここをきちんと正しますと4兆円出てきます。

 この二つを合わせただけで5兆円ぐらいのお金が出るんです。5兆円といいましたら(消費税率)2%の増税分です。

 ですから政治の姿勢をただして、取るべきところからきちんとお金を取るというところに切り込めば、消費税に頼らないで財源をつくることはできる。消費税というのは弱い者に重くのしかかる、所得の少ない者に重くのしかかる悪税ですから、これに頼ることはもうやめたほうがいいと思います。

「アベノミクス」

実質賃金、家計消費がマイナスに―99%のための政治へ切り替えを

 「新報道2001」では「アベノミクスは何合目か」と問われた安倍首相は、GDP(国内総生産)の増加や有効求人倍率の増加などの数字を挙げて「7合目」と答え、「少子高齢化という最大のチャレンジにとりかかる」と述べました。志位委員長は次のように反論しました。

 志位 いま安倍さんは、いろいろな数字をおっしゃったが、大事な数字を二つ言っていない。一つは労働者の実質賃金です。これは安倍政権下で10万円下がっています。それから家計消費です。これは1世帯あたり22万円下がった。一番の経済の土台が下がっている。

 一方、大企業は史上空前の利益を上げて、400兆円を超える内部留保を積み増しています。上位40人の富裕層の(平均)資産は安倍政権下で株が上がって2000億円から4000億円に2倍になった。アベノミクスがもたらしたのは目もくらむような格差の拡大でした。

 大企業や富裕層を応援すればいずれその利益が庶民に回ってくるというやり方が失敗した。国民の暮らしを応援して経済を良くしていく。格差と貧困をただし、1%の富裕層と大企業の応援のための政治ではなくて、99%の国民のための政治に切り替えていくことが必要だと思います。

 安倍首相は、実質賃金が下がったのは、新しい仕事を得た人の給料が安いためで総雇用者所得は増えていると主張。「相対的貧困率」も下がっていると述べました。志位氏は反論しました。

 志位 実質賃金が下がっているのはパートや非正規の方が増えたからだとおっしゃいますが、大企業の労働者も8万円下がっている。

 それから相対的貧困率というのは、所得の中間値の半分(以下)の人(の率)なんです。この中間値が下がってきている。ですから、全体が貧困化する中で相対的貧困率が下がるということがあるんです。

 いま起こっているのは、消費税を8%に上げたことによって、消費不況が起こって、所得が減って、消費が冷え込んでいる。ここに一番の問題があるので、10%増税は中止する、富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革を行う、こういう方策が必要です。

 「ユリノミクス」について問われた希望・小池氏は「アベノミクスの一番足りない部分は成長戦略。改革のスピードが遅い」と述べましたが、具体的な例として「受動喫煙(対策)」を挙げるだけでした。

北朝鮮問題

経済制裁強化と一体で「対話による平和的解決」を

 北朝鮮の核・ミサイル問題について、安倍氏は「圧力をかけて北朝鮮が政策を変えるという形で話し合いをすべきだ」と主張。小池氏は「外交・安全保障は安倍政権を支持する」と述べたのに対し、志位氏は次のように述べました。

 志位 北朝鮮の核・ミサイル開発はもとより絶対に容認するわけにいきません。

 同時にいいたいのは、破滅をもたらす戦争だけは絶対に引き起こしてはならないということです。

 今の現実的な危険がどこにあるかといいますと、米朝の軍事的緊張が高まるもとで、当事者たちの意図にも反して、偶発的な事態、あるいは誤算から軍事衝突が起こる(危険がある)。そして軍事衝突が起こった場合にコントロールできずに戦争に発展する。この戦争というのは核戦争ですよ。この事態はどうしても回避する必要がある。

 ですから私たちは米朝が危機打開のための直接対話に踏み出すべきだということをずっと提唱してまいりました。

 そして経済制裁を強化することは当然必要です。しかし制裁と一体に、「対話による平和的解決」のために力を尽くすべきだ。日本政府は対話否定の立場を改めて、「対話による解決」のイニシアチブを発揮すべきだということをいいたいと思います。

改憲問題

9条2項が空文化=死文化し、海外での武力行使が無制限になる

 憲法改定問題で、安倍首相が自衛隊の存在を憲法に明記するとしていることについて議論になり、安倍首相は「自衛隊が違憲だといわれる状況を変えないといけない」と発言。志位氏は次のように強調しました。

 志位 安倍首相が「9条1項、2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込む」とおっしゃっておられる。これをやったらどうなるか。それは単に存在する自衛隊を憲法上、追認するということにとどまらないと思うんです。

 法律では、後から作った法律は、前の法に優越するということが一般原則とされています。ですから、かりに2項を残したとしても、後から別の項目で自衛隊を明記したら、こちらが優越して、2項の空文化=死文化につながる。そうなりますと、海外での武力行使が無制限になってしまうことになります。

 そして、安倍さんが書き込もうという自衛隊というのは、何より安保法制が強行されて、集団的自衛権が実行できる自衛隊なわけです。ですから、これを書き込むということになりますと、憲法違反の安保法制をいわば合憲化することになる。

 私は、安倍内閣の憲法9条改定には反対だという一点で力を合わせようということを訴えたいと思います。

 これに対し安倍首相は「(9条)2項は残る。必要最小限度の自衛力という制限がかかるので、自衛隊が行う制限は変わりがない」と主張。志位氏は次のように反論しました。

 志位 そうはならないと思うんですよ。これまで政府は2項があるために、“自衛隊は戦力にあたらない、必要最小限度の実力組織だと、だから海外での武力行使はできません、集団的自衛権の行使はできません”といってきたわけですね。2項が制約的に働いていたんですよ。

 それとは別の項目で、自衛隊が明記されたら、この項目に即して法律をつくれば、自衛隊がなんでもできるようになる。ですから、2項は空文化=死文化することになると思います。

 立憲民主・枝野氏は「自衛隊を明記すれば安保法制を追認することになるので到底認められない」、社民・吉田氏も「9条を変えることではなくて生かすことこそ求められる」と述べました。

 これに対し希望・小池氏は「9条だけでなく憲法が議論のそ上に上がることは意義がある」と述べ、改憲論議を進めていく考えを表明。維新・松井氏も「時代にあわせてつくり変えると提案している」、公明・山口氏は「新たな規定を加える加憲による改正は認める」と述べました。

安保法制発動で、米国の戦争に自動参戦する危険

 安倍首相は、「安保法制を廃止すれば、日米同盟に打撃を与える」と主張。志位氏は次のように述べました。

 志位 この間、安保法制を発動して、海上自衛隊の艦船が米艦防護をやったり、あるいは燃料を補給する。これが国民の知らないところでやられていたことが明らかになりました。私はたいへん危険だと思っております。

 万が一、米国が軍事的選択肢を取る、「先制的な軍事力行使」をやると踏み切った場合には、米国の戦争に自衛隊が自動的に参戦することになる。国民の知らないところで日本が戦争当事国になって戦火が日本全土に及ぶことになる。それでいいのかが問われています。

 これに対し安倍首相は「給油については情報公開していきたいが、すべて公開することはできない」などというだけで、まともに答えられませんでした。

原発問題

試金石は再稼働への態度―。再稼働はやめて廃炉に

 原発問題について、安倍首相は「原発依存度を可能な限り低減していく」、希望・小池氏は「2030年までに脱原発をめざす」、公明・山口代表は「再稼働は認めていい」、立憲民主・枝野氏は「具体的な工程表を法制化して原発ゼロを」、社民・吉田氏は「基本法案を出して脱原発社会に取り組む」と述べました。

 志位氏は次のように述べました。

 志位 原発問題の最大の試金石は、原発の再稼働を認めるかいなか、ここにあると思います。

 どんな世論調査をみても、国民の5割から6割は再稼働反対。これはゆるぎません。それは福島原発事故から6年以上たつのに、なお6万8000人もの県民のみなさんが避難生活を強いられている。この事実を目の当たりにしている(からです)。この国民の声を受け止めるべきだと思います。

 それから、(政府は)「新規制基準」は「世界で最も厳しい基準」といいますが、これも新たな安全神話で、ヨーロッパでは例えばメルトダウンした場合に、それを受け止める「コアキャッチャー」(炉心溶融物保持装置)がなければ認められません。こういうこともなしに、どんどん進めようとしている。

 そして「核のゴミ」の問題。処理不能な「核のゴミ」がどんどんたまる。再稼働をやりましたら、計算では6年間で(使用済み核燃料の)貯蔵プールがあふれ出す。ですから、再稼働はやめて、止めたまま廃炉に進むべきだと思います。

対決構図

「三極」は間違い「自公と補完勢力」VS「市民と野党の共闘」

 「新報道2001」で希望・小池氏は、冒頭解散によって「三極」という分かりやすい構図になったと語りました。司会者から「希望の党の存在をどうみるか」と問われた志位氏は次のように発言しました。

 志位 「三極」と言われるが違うと思います。「希望の党」の政策を拝見すると、「安保法制容認」、「9条を含む憲法改正」、「原発ゼロ」をいうが「再稼働は容認」です。根幹のところでは安倍さんのところと同じなんです。昨日も討論会でお聞きしましたら、(小池氏は)「あまり違いはない」とおっしゃった。

 私は今度の選挙の対決構図というのは、「自公とその補完勢力」対「市民と野党の共闘」だと思っています。

 これに小池氏は「違います。私どもは『身を切る改革』『しがらみのない政治』ということをやっているわけで」と色をなして反論しましたが、根幹部分の一致については否定しませんでした。


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