2017年10月6日(金)
主張
戦争法への態度
容認では日本の平和守れない
安倍晋三・自公政権が「海外で戦争する国」づくりを進めるため、空前の規模に広がった市民の反対運動や世論を無視し、2015年9月に成立を強行した安保法制=戦争法―。その存続を許すかどうかは、総選挙の大きな争点です。海外で米軍が起こす戦争に自衛隊が参戦し武力を行使する道を開いた違憲立法に対し、「希望の党」は容認の立場を明確にしています。安倍暴走政治の最たるものである安保法制=戦争法を容認してどこが「リセット」(小池百合子代表)か―。戦争法廃止と立憲主義回復へ、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進が必要です。
「共に作り上げた」
「安全保障、基本的な理念は同じだ」―。安倍首相は衆院解散を表明した9月25日の記者会見で、「希望の党」結成の影響を問われ、こう答えました。首相はその理由について、小池代表が第1次安倍政権で安全保障問題担当の首相補佐官と防衛大臣を務めた経歴を挙げました。
安保法制=戦争法は、憲法9条の下で集団的自衛権の行使は許されないとしてきた歴代政府の解釈を百八十度転換した第2次安倍政権の14年7月の「閣議決定」に基づいています。小池代表は、集団的自衛権の行使容認とその法制化に向け、同年3月、自民党内に安倍総裁直属の機関として設置された安全保障法制整備推進本部の副本部長も務めていました。
小野寺五典防衛相は、小池代表について「平和安全法制(安保法制=戦争法)については私どもと共にむしろ作り上げた立場の方」「平和安全法制についての考えを、小池代表を中心とする新しい党の皆さんが共有していただけることは歓迎できる」と述べています(9月29日の記者会見)。安倍暴走政治と違いのないことは明白です。
安保法制=戦争法は、海外での自衛隊の武力行使を可能にする四つの仕組み―(1)「戦闘地域」での米軍などへの兵(へい)站(たん)の拡大(2)戦乱が続いている地域での治安活動(3)地球のどこでも米軍を守るための武器使用(4)集団的自衛権の行使―を盛り込んだ憲法9条じゅうりんの希代の悪法です。
「希望の党」が公認する立候補予定者に対し小池代表あてに提出を求めた誓約書(政策協定書)は「現行の安全保障法制については、憲法に則(のっと)り適切に運用する」とし、安保法制=戦争法の容認を迫っています。たとえ「憲法に則り」という文言を入れても、憲法違反の法律を憲法にのっとって運用することなどそもそも不可能です。違憲立法を強行した自民・公明両党の「補完勢力」であることはごまかせません。
廃止は喫緊の課題
北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射で軍事的緊張が高まる中、安倍政権は国民・国会に明らかにしないまま、安保法制=戦争法を発動し、自衛隊艦船が米軍艦船に燃料補給や、武器の使用が可能な「米艦防護」を行っていたことが判明しています。日米軍事一体化の推進は、地域の軍事的緊張を一層深刻にします。万一、米国と北朝鮮との間で軍事衝突が起こった場合、日本が自動的に参戦し、国民の知らないところで戦争当事者になる現実の危険があります。
安保法制=戦争法の廃止は喫緊の課題であり、安倍暴走政治ノーの審判を下すことが重要です。