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2017年10月3日(火)

安倍9条改憲 対決の軸に

自民・維新が公約に明記 「希望」も論議

2017総選挙 論戦の焦点

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 安倍晋三首相が2020年施行と期限を切って9条改憲を目指すもと、今回の総選挙では9条改憲が総選挙の大争点です。自民、維新は公約に改憲を明記。小池百合子都知事が代表を務める「希望の党」も9条を含めた改憲を打ち出すなかで、改憲への姿勢が「自民+補完勢力」VS「市民+野党」の対決軸となっています。


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 安倍首相は25日に臨時国会の冒頭解散を表明した後、同日夜のNHK番組に出演。「北朝鮮がこういう状況の中で最前線で頑張っている自衛隊の存在を選挙公約でどのように書くか、自民党の中で議論していく。基本的には自衛隊の存在を憲法に明記することに向けて議論が進んでいく」と述べました。

 自民党憲法改正推進本部は、総選挙後に開かれる国会に提出する改憲案のとりまとめ論議を推進中です。論議の途中であることを理由に、具体的な改憲条文案を示していません。

 自民党は、来年1月召集の通常国会の初めから改憲案の審議をはじめ、6月には改憲発議にこぎつけるというスケジュールを抱いています。

 自衛隊を憲法に書き込む「加憲」論は、もともと公明党の持論。選挙が終われば公明党も改憲論議に参加することは確実です。

 日本維新の会も総選挙公約で初めて9条改定を盛り込みました。

 安倍首相はNHK番組で、「与党だけで憲法改正の発議ができるとは考えておらず、多くの党の賛成を得たい。東京都の小池知事も、日本維新の会も憲法改正には前向きだと思う」と述べ、9条改憲に向け、日本維新の会や「希望の党」の協力に期待を表明しました。

危険その1 戦争法合憲化

 自衛隊が憲法に書き込まれたらどうなるでしょうか。

 最低限でも、現在の自衛隊の権限がすべて「合憲」とされ、違憲の安保法制=戦争法はすべて合憲とされてしまいます。安倍首相は自衛隊に対する違憲論を払拭(ふっしょく)すると言いますが、違憲の戦争法を合憲化することが最大の狙いの一つです。

危険その2 2項は空文化

 さらに、自衛隊が「自衛権」を行使すると条文に書かれれば、自衛権には個別的自衛権と集団的自衛権が含まれるとして、無制限な集団的自衛権の行使が可能になります。また、「国際貢献」のために活動すると書き込まれれば、国連のPKO(平和維持活動)などだけでなく、米国と共に多国籍軍に参加し武力行使することも可能になります。

 そもそも、自衛隊が憲法に明記されれば、「武力によらない平和」の理念は根本的に変質します。憲法上の存在となった自衛隊は、2項の戦力不保持規定が残っても独り歩きすることになるでしょう。無制限の海外での武力行使に大きく道を開きます。2項は空文化し、米国と共に「海外で戦争する国」への道です。

危険その3 社会の軍事化

 憲法に軍事組織である自衛隊が書き込まれれば、軍事を理由とした人権の制限が可能となり、知る権利や表現の自由も制限されます。徴兵制や国民の戦争動員も可能となり、軍事予算が社会保障予算を大きく圧迫します。

 軍産学共同も進み、軍事研究や武器輸出なども大手を振って行われ、社会全体に軍事がのしかかります。

国民的共同で審判を

日本共産党 平和への対案

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(写真)緊急街頭宣伝で北朝鮮の暴挙を糾弾し、安倍9条改憲NO!3000万署名を呼びかける(手前右から)山下副委員長、藤田都議、吉良参院議員=9月15日、東京・新宿駅西口

 日本共産党は、安倍政権による9条改定に反対する―この一点で、政治的立場の違い、思想・信条の違いをこえた国民的共同で審判を下そうと訴えています。

 9月8日には、思想・信条の違いを超え「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が発足しました。全国7000余の草の根「九条の会」も同アクションに合流し、安倍改憲を許さないかつてない幅広い国民の輪が広がっています。河野洋平元衆院議長や細川護熙元首相ら保守政治家からも9条改憲への批判の声が上がっています。

 日本共産党は9条を堅持し、紛争や緊張を9条を生かした平和外交によって解決する抜本的対案として「北東アジア平和協力構想」を提案しています。

 どんな紛争も武力でなく話し合いで解決する平和のルール(友好協力条約)を北東アジア規模で締結する▽北朝鮮問題を「6カ国協議」で解決し、これを平和と安定の枠組みに発展させる▽領土問題の外交的解決を目指し、紛争をエスカレートさせない行動のルールを結ぶ▽日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる―という内容です。

 北朝鮮の核・ミサイル問題でも、軍事的緊張のエスカレートによる偶発的事態から軍事衝突へと発展する危険を指摘し、米朝間の無条件対話を呼びかけています。

 経済・社会の相互依存が深まる世界で、戦争は互いの利益に反します。対話による紛争の解決こそ最も現実的な道です。

「希望の党」

改憲推進の立場 自民と大連立も

 安倍首相が臨時国会の冒頭解散の方針を表明した9月25日、小池百合子東京都知事は「希望の党」の結党を宣言し、自ら代表に就任しました。就任会見で小池氏は「憲法は論議を避けてはいけない。9条に絞っているのはおかしい」として、9条を含めた改憲推進の立場を表明。「与党になるか野党になるかわからない」とも述べました。

 28日には民進党の前原誠司代表が同党の事実上の解党と「希望の党」への合流を提案し了承されましたが、小池氏は安保法制の容認、改憲推進を民進党議員の合流の条件としています。

 「希望の党」は戦争法や9条改憲で自民党と同一歩調を取り、選挙が終われば、仮に自民、公明、維新の改憲勢力が議席を減らしても、希望の参画によって「改憲大連立」となる危険があります。


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