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2017年9月28日(木)

消費税10% 安倍首相 増税宣言

教育・子育てを“人質”にするが―

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 安倍晋三首相は25日、記者会見で2019年10月から消費税率を10%に引き上げると増税を宣言しました。教育や子育てを口実に、国民と日本経済に「消費税増税」という毒薬を飲ませようというものです。

 (清水渡、杉本恒如)

8%でも家計月2万円切り詰め

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 安倍首相は総選挙の理由について、消費税問題をあげます。これまでも消費税問題を国政選挙で利用してきました。14年11月には、10%への税率引き上げを15年10月から17年4月まで延期することを口実に衆院を解散。昨年も参院選前に、19年10月への増税再延期を打ち出しました。今回、引き上げの再々延期を提起できないもとで、「使い道」を口実にしたのです。

 そもそも、消費税増税は日本経済を深刻な消費不況に陥れます。14年4月に5%から8%へ消費税の税率引き上げを強行した結果、3年以上たっても個人消費は落ち込んだままです。

 14年4月から17年7月までの40カ月のうち、家計の消費支出が前年同月を上回ったのはわずか3カ月。37カ月はマイナスでした。2人以上の世帯における実質消費支出は安倍政権発足直後となる12年12月の月額30万円から17年7月は28万円へと2万円近くも切り詰めています。労働者の家計を支える実質賃金も同じ期間に同32・6万円から31・8万円へと8000円の下落です。

 個人消費の弱さは政府も、17年度版「経済財政白書」で「力強さに欠けている」と認めています。

 19年10月に10%への消費税率の引き上げを強行した場合、14年4月の増税時を上回る個人消費への悪影響を引き起こしかねません。個人消費の下落と低迷が日本経済をさらに悪化させるという、経済の悪循環を加速しかねません。

そもそも教育・福祉削ったのは誰

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 安倍首相は25日の会見で「子育て世代への投資を拡充するため」に「再来年10月に予定される消費税率10%への引き上げによる財源を活用しなければならないと判断した」と述べました。保育・教育の負担軽減という国民の切実な願いを“人質”にとって消費税増税を押し付ける狙いです。

 消費税は最悪の不公平税制です。課税対象があらゆる生活必需品に及び、所得の低い人ほど負担割合が高くなります。どんなに生活が苦しくても、買い物をするたびに8%の税率を課されています。

 一方、富裕者は所得そのものが多く、貯蓄や土地・株の購入などに回すため、消費税の負担割合が低くなります。高所得者に軽く低所得者に重い、逆進性が消費税の特徴です。

 このような税金を増税すれば低所得者の生活は壊され、格差が一層広がります。社会保障や教育に最もふさわしくない財源です。

 そもそも安倍政権は社会保障と教育の予算を削減してきました。社会保障費の自然増分を、13〜17年度の5年間で1兆4600億円も削りました。文教予算も15〜17年度の3年連続で削減しました。保育所の待機児童対策でも安上がり保育を増やす方法をとり、子どもの成長と命を危険にさらしてきました。

 25日の会見で安倍首相は、社会保障費について「小泉政権当時の(毎年)2200億円よりも多くの伸びを抑えている」と認めた上で「これからも続ける」と述べました。「社会保障関係費の自然増に対する年2200億円の機械的な削減が医療崩壊を現実化させた」(13年12月4日、日本医師会の横倉義武会長)と批判を浴びたにもかかわらず、さらに削減を加速するというのです。

1%の富者優遇ではなく、99%の国民のために

不公平ただし応能負担を

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(写真)1円でも安いものをと買い物をする人たち=東京都板橋区

 社会保障を支える財源は能力に応じて負担する「応能負担の原則」が貫かれる必要があります。1%の富裕層や大株主、大企業を優遇する税制から、99%の国民のための税制に変えていく必要があります。

 安倍政権は「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざすという掛け声のもと、大企業の税負担を減らし続けました。安倍政権発足以来、4兆円もの減税となっています。

 もっぱら大企業が利用する優遇税制の結果、大企業の実質法人税負担率は12%程度と、中小企業の19%に比べても低くなっています。優遇税制をあらため、せめて中小企業並みの負担に高める必要があります。

 富裕層の所得の多くを占める株取引に対する税率は低く抑えられています。その結果、所得1億円程度を超えると逆に税負担率は下がってしまいます。大株主優遇の不公平税制をあらため、富裕層に応分の負担を求め、所得税の累進を強化します。

 アマゾンやアップルなど世界的に名だたる企業が日本ではもうけに応じた法人税を納めていないことが問題になっています。タックスヘイブン(租税回避地)を利用した大企業や富裕層の「税逃れ」を許さない法整備を進め、国際的な協力体制をつくることが求められています。世界的な「法人税下げ競争」を見直し、国際協調で下げすぎた法人税率を適切に引き上げる必要があります。


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