2017年9月26日(火)
主張
安倍首相解散表明
暴走の加速を狙った暴走だ
安倍晋三首相が28日召集の臨時国会の冒頭で衆院を解散することを正式に表明しました。国民の批判を浴びている「森友学園」「加計学園」の疑惑隠しを狙った言語道断の党略的暴挙です。首相は解散表明の会見で、「アベノミクス」の推進、消費税増税の使い道の変更、北朝鮮対応などを総選挙で問うとして、これまで続けてきた暴走政治の加速を狙う姿勢をあらわにしました。安倍首相が政権に復帰してから4年9カ月―。民意に逆らい暴走を重ねる安倍政権を許さず、退場を求める国民的審判を突き付けることが必要です。
増税明言し生活破壊推進
この冒頭解散は、「森友」「加計」疑惑究明などのため野党4党が憲法53条にもとづき要求してきた臨時国会開催を事実上葬る憲法違反の異常なやり方です。
首相は会見で、経済政策「アベノミクス」を進める、再来年10月予定の消費税の10%への引き上げによる「財源」の一部を教育・子育てに回すなどと強調しました。
とんでもない居直りです。安倍政権が発足以来売り物にする「アベノミクス」は、大企業には史上空前のもうけを上げさせる一方、働く者の賃金は上がらず格差と貧困を拡大させ、日本経済を深刻化させている破綻ずみの政策です。その推進をうたうことは、国民の暮らしの実態をみようとしないあまりにも無責任な姿勢です。
消費税増税の「使途変更」は極めて悪質な企てです。2014年4月に強行された消費税8%への増税は、国民の暮らしを直撃し消費を冷え込ませ、深刻な不況はいまも続いています。だからこそ安倍政権は2度にわたって10%への増税を延期してきたのです。今度は、教育や子育てという“看板”で国民に大増税をおしつける―。日本経済も暮らしもどん底に突き落とす暴走は認められません。
首相会見で直接言及はなかったものの、自民党は、「9条改憲」を総選挙の公約に掲げることにしています。今年5月に改憲派集会へのメッセージで述べた、9条に自衛隊を明記した改憲を2020年までに行う方針をすすめるというものです。総選挙後の国会に改憲案を出すことを念頭に置いています。9条に自衛隊を書き込む明文改憲は、“自衛隊の追認”にとどまらず、違憲の安保法制=戦争法を「合憲化」し、9条2項の死文化によって無制限の海外での武力行使まで可能にしようとする危険極まりない道です。平和を願う圧倒的多数の国民の声に真っ向から逆らう、こんな策動を絶対に許してはなりません。日本国憲法施行70年の節目、首相の改憲策動を断念させる国民の審判をはっきり示すことが重要になっています。
退場の審判下す機会に
今回の解散は、国政を私物化し、秘密保護法、戦争法、「共謀罪」法を強行してきた強権的手法に対して国民の怒りが沸騰し、世論に追い詰められた結果です。総選挙では、憲法の平和主義・立憲主義・民主主義を壊してきた暴走、沖縄新基地建設や原発再稼働の民意無視、「森友」「加計」疑惑、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決などが正面から問われます。
安倍政権を追い込んできた野党と市民の共闘の成功、暴走政治と対決する日本共産党の躍進を実現し、総選挙で安倍政権に退場の審判を下すことが求められます。