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2017年9月23日(土)

解散・総選挙 何が問われる

五つの大問題 野党と市民の共闘がカギ

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 安倍晋三首相が「森友・加計疑惑隠し」で前代未聞の暴挙で強行しようとしている衆院の解散。国民の世論と運動に追い込まれた結果であり、安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンスです。その総選挙で問われるものは何か。「自公と補完勢力」対「野党と市民の共闘」という対決構図のなかで、問われる五つの問題を考えました。

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[1]こんな安倍政治 退場!!

相次ぐ国政私物化・憲法破壊

 「森友・加計」疑惑など国政を私物化し、「共謀罪」の強行など憲法破壊を繰り返し、沖縄米軍基地建設や原発再稼働などで民意を踏みつけにしてはばからない政治―こんな安倍政治を続けさせていいのか、今回の総選挙で問われる一番の問題です。

 加計疑惑は、首相の「腹心の友」である加計孝太郎氏が理事長を務める学校法人に国家戦略特区を利用して獣医学部新設を可能にしたのではないかという疑惑です。森友疑惑では、国有地が8億円も値引きして払い下げられた小学校の名誉校長を、首相夫人の昭恵氏が務めていました。

 いずれも安倍首相にもっとも近い人物が疑惑の中心にいながら、加計氏も昭恵氏も疑惑が浮上してから半年以上、口をつぐんだままです。それを安倍首相が放置しています。世論調査でも加計疑惑で「疑惑が晴れてない」は83%(「朝日」8月調査)です。

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(写真)国会を取り囲み、戦争法案廃案、安倍首相退陣を求めてコールする人たち=2015年8月30日、国会正門前

 そうである以上、国会での証人喚問が必要なのに、政府・与党は拒否。野党が疑惑解明のために憲法53条に基づいて要求していた臨時国会も、3カ月たなざらしにしたあげく、召集したと思ったら審議しないまま冒頭解散に打って出ようとしています。強行すれば、戦後の歴史でだれもやったことのない、憲法違反の暴挙です。

 7月の東京都議選での歴史的惨敗を受けて、「反省」や「丁寧な説明」を口にしていた安倍首相ですが、やっていることはまったく逆です。自民党内からでさえ「国民の目には『国会での疑惑追及を逃れるために解散する』みたいに映る」(山本一太元沖縄・北方相)との指摘も出るほどです。

 秘密保護法に加え、集団的自衛権の行使容認、安保法制=戦争法や「共謀罪」法の強行など、憲法破壊を繰り返してきた安倍政権が国会審議を拒否するという議会制民主主義まで否定するような暴挙に出たのです。

 都議選につづき、総選挙でも、安倍暴走政治に退場の審判を下そう―日本共産党は訴えています。

 民意無視 沖縄県民は、2014年の名護市長選、県知事選、総選挙と三大選挙で辺野古新基地反対の候補をすべて当選させ、圧倒的な新基地反対の民意を示しました。にもかかわらず安倍政権は、非暴力の県民の抗議を機動隊を動員して弾圧。新基地建設のための埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事を、裁判に訴えてまで新基地建設を推進しています。

 原発でも、どの世論調査でも国民の6〜7割が再稼働反対。参院選や新潟県知事選でも、再稼働反対を掲げる野党と市民の統一候補が、原発推進の自民党候補に勝利しました。にもかかわらず、安倍政権は原発再稼働ありきの姿勢を崩していません。

 こんな民意無視の安倍政治を続けさせておくわけにはいきません。

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(写真)日本海で米原子力空母カールビンソンと共同演習を行う日米のイージス艦=6月1日(米海軍ウェブサイトから)

[2]北朝鮮問題 外交解決で

憲法違反の戦争法は廃止に

 北朝鮮の核・ミサイル問題をどう解決するのかも、総選挙で問われる大きな問題です。

 日本共産党は、解決の唯一の道は、経済制裁の強化と一体に「対話と交渉による解決」の努力を図ることだと主張しています。戦争は絶対に起こしてはならないからです。もし軍事衝突が起きれば、日本を含め「信じられない規模での悲劇が起きる」と米国のマティス国防長官も指摘しています。

 いま一番の危険は、米国と北朝鮮の間の軍事的緊張のなかで、偶発的な衝突が起こる可能性が強まっていることです。それを避けるには、米朝両国の直接対話しかありません。

 1994年の朝鮮半島危機を訪朝で解決に導いたカーター元米大統領は、米朝指導者間かそれに準じるレベルの対話を呼びかけています。日本政府は米朝両国にそれを促す役割こそ果たすべきです。

 北朝鮮の核実験を受け、9月11日に全会一致で採択された国連安保理決議も、経済制裁を強化するとともに、「対話を通じた平和的・包括的な解決」を呼びかけています。

 ところが、安倍首相は米紙への寄稿文で「北朝鮮との対話は無駄骨だ」と断言。国連演説でも「必要なのは対話ではない、圧力だ」と強調するなど、対話をまっこうから否定し、軍事圧力を強める米国の姿勢を「一貫して支持」と表明しました。

 一方で、安倍政権が、北朝鮮問題を契機に日米共同演習の拡大など軍事一体化や、過去最大規模の5・2兆円もの大軍拡をすすめていることはとても危険です。

 とりわけ、北朝鮮問題との関係でも、戦争法の存在が日本を危険にさらしていることが浮き彫りになりました。今年4月以降、北朝鮮の警戒・監視にあたる米イージス艦に海自の補給艦が「給油」していました。5月には海上自衛隊の護衛艦が日本海に向かう米補給艦の「防護」を実施しました。国民が知らないところで、戦争法がひそかに発動されたのです。

 万が一、軍事衝突になれば、日本が米国の戦争に自動的に参戦することになります。国民の知らないところで、日本が戦争の当事国になっていいのか、問われます。

 やはり、憲法違反の戦争法の廃止は急務です。

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[3]消費税10%増税の中止

暮らし応援する経済に転換

 暮らしと経済の問題では、消費税10%の中止と、格差と貧困をただす改革が求められています。

 5年間にもなろうとする安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、格差と貧困を拡大し、社会と経済の危機を深刻にしました。

 「異次元の金融緩和」と株高政策のもとで、大企業の経常利益は、2012年度から16年度の4年間で1・5倍近く増加し、過去最大となりました。しかし大企業はもうけをため込むばかり。大企業の内部留保は、年度として初めて400兆円を突破しました。

 米誌『フォーブス』が毎年集計している「世界のビリオネア(10億ドル以上の資産保有者)」。12年と16年の調査分を比べると日本在住者は1・5倍の33人、資産総額は684億ドル(7兆5240億円)から1145億ドル(12兆5950億円)へと膨らみました。人数・金額ともに過去最高です。

 一方で、働く人の賃金は冷え込んだままでわずかに下落。2人以上世帯の実質消費支出額も下落し1カ月あたり1万8000円の切り詰めとなりました。

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 その大きな原因の一つは、14年4月に安倍政権が強行した8%への消費税率引き上げです。消費税増税以降の40カ月で家計の消費支出が前年同月を上回ったのはわずか3回(16年2月のうるう年効果を除く)。消費不況を引き起こしました。

 日本共産党は格差と貧困をただすには、経済民主主義の改革が必要だと考えています。

 第一は、税金の集め方を改革することです。消費税率10%への増税を中止し、富裕層や大企業に応分の負担を求めます。

 第二は、税金の使い方を改革することです。社会保障、若者、子育て支援中心の予算にすることが必要です。

 第三は、働き方を改革することです。「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を実現します。

 第四は、産業構造の改革です。大企業と中小企業、大都市と地方などの格差を是正します。

 大企業と金持ち優遇のアベノミクスを転換し、「格差と貧困の拡大」「中間層の疲弊を克服」してこそ、日本経済の真の「好循環」を作り上げることができます。

[4]安倍9条改憲 許さない

思想・信条超え国民的審判を

 安倍9条改憲を許すのか、これをくい止めるのかが、総選挙の大争点の一つです。

 安倍首相は憲法施行70年の記念日に突然、「9条1項、2項を残したまま自衛隊を明文で書き込む」という改憲案を示しました。

 自民党は来年6月の改憲発議を「目標」に、9条改憲を総選挙の公約にも書き込もうとしています。

 安倍首相が主張する9条改憲は、自衛隊の憲法上の追認にとどまりません。日本国憲法の「武力によらない平和」「不戦」の理念は根本的に変わってしまいます。違憲の戦争法を合憲化し9条2項が空文化され、無制限の海外での武力行使に道を開きます。米国とともに「海外で戦争する国」に日本は変わってしまうのです。

 日本共産党は、安倍政権による9条改定に反対する―この一点で政治的立場の違い、思想・信条の違いをこえた国民的共同で審判を下そうと訴えています。改憲の動きに、保守政治家からも批判の声があがっています。

 今月8日には思想・信条の違いを超え「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が発足集会を開催しました。全国7000余の草の根「九条の会」も同アクションに合流し、安倍改憲を許さないかつてない幅広い国民の輪が広がっています。

 安倍政権は、2013年の秘密保護法、15年の安保法制=戦争法、今年6月の「共謀罪」法など、憲法をあからさまに踏みにじる立憲主義破壊の悪法成立を次々と強行してきました。野党が憲法に基づいて臨時国会を召集しても拒否し続けてきました。憲法を守らない首相に憲法を変える資格などありません。

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(写真)核兵器禁止条約が採択されたのを喜び、握手する国連会議のエレン・ホワイト議長(左端)と志位委員長(右から2人目)=7月7日、ニューヨークの国連本部(遠藤誠二撮影)

[5]核兵器禁止条約 参加へ

非核の政府つくりましょう

 人類の歴史上、初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約に、唯一の戦争被爆国・日本の政府が背を向けていいのか―。これも、総選挙で問われる大きな問題です。

 核兵器禁止条約は、長年にわたる被爆者と核兵器廃絶を求める運動によって今年7月に採択されました。9月20日から条約参加の署名が始まり、初日だけで50カ国になりました。歴史的な条約が来年に発効することは間違いありません。

 ところが、安倍首相は「(核兵器保有国と非保有国の)隔たりを深め、核兵器のない世界の実現をかえって遠ざける」と述べ、唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、禁止条約を否定しています。

 被爆者が、「どこの国の総理か」「国民の願いを踏みにじるものだ」と怒るのは当然です。

 「日本政府も核兵器禁止条約に参加せよ」「参加しないというのであれば、核兵器禁止条約に参加する政府をみんなの手でつくろう」―今度の選挙で、こういう審判を下すことが必要です。

 日本政府が核兵器禁止条約に参加することは、北朝鮮に核兵器を放棄させるうえでも、大義の旗を日本政府が握ることになります。

 日本の核兵器廃絶を求める運動は、大国による干渉もはねのけて世界の運動と連帯して発展してきました。核兵器禁止条約にはその内容が盛り込まれており、日本の70年余りのたたかいが実を結んだものです。

 日本共産党は、綱領に「核兵器廃絶」を掲げる党として、この運動と固く連帯してたたかってきました。

 禁止条約の採択にあたっても、3月に開かれた国連会議に代表団を送り、「要請文」「文書発言」を提出し、38の国・機関に要請・懇談を行いました。志位和夫委員長が日本の政党として唯一、演説し、「禁止条約を一致できるところで作成し、核兵器廃絶への一歩を踏み出そう」と呼びかけ、歴史的な国連会議の成功に貢献しました。

 この姿勢についてキリスト者で被爆者の和田征子さんは「ぶれずに核兵器廃絶と平和を求める共産党の働きには、キリスト者として共通する思いも感じます」と語っています。

 野党と市民の共闘の勝利、日本共産党の躍進で安倍政権を退場させ、禁止条約に署名・批准し、核兵器廃絶の先頭に立つ非核の政府をつくりましょう。


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