2017年9月22日(金)
日本共産党全国都道府県委員長会議
志位委員長の報告
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日本共産党の志位和夫委員長が21日の緊急の全国都道府県委員長会議で行った報告は次のとおりです。
お集まりの都道府県委員長のみなさん、インターネット中継をご覧の全国のみなさん。連日のご奮闘に心からの敬意を申し上げます。
私は、常任幹部会を代表して、緊急の全国都道府県委員長会議への報告を行います。
わき目もふらず打って出て日本共産党躍進の大波をつくりだそう
野党と市民の共闘の勝利、日本共産党の躍進――二大目標達成を揺るがず堅持して
9月28日に召集される臨時国会冒頭で、安倍首相が衆議院を解散し、総選挙となる可能性がきわめて濃厚になりました。総選挙は、10月10日公示、22日投票となることが想定されます。
この間の中央の対応としては、17日、常任幹部会として、「緊急の訴え」を出し、全党に「総選挙勝利に向け勇躍して総決起しよう」と呼びかけました。さらに、18日、記者会見で、解散・総選挙に対する基本姿勢について表明しました。
1月に開催した第27回党大会では、総選挙について二大目標を決定しています。(1)野党と市民の共闘を発展させ、総選挙でも選挙協力を行い、衆議院における「改憲勢力3分の2体制」を打破し、さらに自民・公明とその補完勢力を少数に追い込むことをめざす。(2)2013年参院選に始まり、14年総選挙、15年統一地方選、16年参院選と続いている日本共産党の“第3の躍進”を大きく発展させる。
この二大目標を何としても達成することを揺るがずに堅持して、歴史的総選挙をたたかいぬく決意を、まずみんなで固めあいたいと思います。
野党共闘の「様子見」に陥ることなく、党躍進の大波をつくるために打って出る
野党と市民の共闘を成功させるという点では、何よりも中央段階での、他の野党、市民連合のみなさんとの話し合いが重要となります。中央委員会として、共闘の体制を緊急につくりあげるために、最大の努力をしているさなかであります。その体制をつくるには、急ぐにしても一定の時間がかかります。
そこで今日、この会議で意思統一したい中心点は、野党共闘の「様子見」に陥ることなく、全党がただちに臨戦態勢を確立し、当面の政治論戦の中心点をつかんで、「比例を軸」にした日本共産党躍進のために、ただちに全有権者を対象とした大量宣伝、対話・支持拡大に打って出る――ここにあります。わき目もふらず打って出て、日本共産党躍進の大波を全国でつくりだす。これが今日の会議の中心点です。そのことが共闘を成功させる最大の力にもなることを、まず強調したいと思います。
今回の解散をどうとらえどういう構えで総選挙にのぞむか
今回の解散の動きをどうとらえ、どういう政治的構えで総選挙にのぞむか。私は、二つの点を強調したいと思います。
冒頭解散――疑惑隠し、前代未聞の異常で党略的な暴挙
第一に、今回の臨時国会冒頭での解散は、「森友・加計疑惑隠し」を狙ったものであり、前代未聞の異常で党略的な暴挙だということであります。
野党4党は、6月22日、一連の国政私物化疑惑を徹底究明するために、憲法第53条に基づく正当な手続きを踏んで臨時国会召集を要求しています。冒頭解散となれば、この要求を3カ月以上、たなざらしにしたあげく葬り去ることになります。野党が憲法に基づいて要求した臨時国会を、まともに開催せず、冒頭でいきなり解散するなどということは、戦後の歴史でもこれまで誰もやったことがないことであります。それは党利党略、権力の私物化の極みであり、憲法違反の暴挙といわなければなりません。
野党4党は、昨日、書記局長・幹事長会談を開き、衆参の本会議での代表質問、予算委員会などを開催し、関係者の証人喚問も含めて、国政私物化疑惑の徹底究明を行うことを、政府・与党に強く求めることを確認しました。
「疑惑隠しの冒頭解散を許すな」「疑惑の徹底究明のうえで、国民の審判を仰げ」――このことを強く要求してたたかおうではありませんか。
追い詰められての解散――安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンスの選挙
第二に、それではなぜ安倍首相がこのような異常な党略的な暴挙に打って出ようとしているのか。それは国民の世論と運動によって追い詰められた結果にほかなりません。
この間の安倍内閣による国政私物化、憲法を壊す政治、異論や批判に耳を傾けず敵視する強権的な政治姿勢に対して、国民のなかに深い批判、怒り、嫌悪感が広がりました。それは7月の東京都議選での自民党の歴史的惨敗をもたらしました。
これらの政権批判は、個々の政策課題に対する批判にとどまらず、安倍首相の政治姿勢、政治的資質に対する根本的不信と嫌悪感の広がりであり、それは、一時的な内閣支持率の持ち直しがあったとしても、容易に払しょくできるものではありません。そのことは安倍首相自身も感じていることでしょう。「解散の時期を延ばせば延ばすほど追い詰められる」――安倍首相はこういう思惑からいちかばちかの解散に打って出ようとしているのであります。
ですから、今回の総選挙は、安倍政権を退場に追い込む歴史的チャンスの選挙であります。国民の世論と運動、日本共産党の奮闘によって、安倍政権をここまで追い込んできたことに確信をもって、この歴史的政治戦を意気高くたたかい、必ず勝利をつかみとろうではありませんか。
当面の政治論戦の中心点――五つの柱について
総選挙で何を訴えてたたかうか。
総選挙の政治対決の構図は、「自公と補完勢力」対「野党と市民の共闘」となります。この構図が際立つように、論戦を組み立てていきたいと思います。
安倍首相が25日にも行うとされる解散表明で、彼がこの解散をどう意義づけるかにもかみあわせて論戦を発展させる必要がありますが、当面の政治論戦の中心点として五つの柱を強調したいと思います。
国政私物化、憲法破壊、民意踏みつけの安倍暴走政治に退場の審判を
第一は、「森友・加計疑惑」など国政を私物化し、「共謀罪」の強行など憲法破壊を繰り返し、沖縄や原発など国民の民意を踏みつけにしてはばからない政治を、このまま続けていいのか。これが問われます。
都議選での惨敗という結果を受けて、安倍首相は、「反省」とか「丁寧に説明」などを口にしましたが、やっていることはまったく逆であります。都議選に続き、総選挙で、安倍暴走政治に退場の審判を下そうということを大いに訴えてたたかおうではありませんか。
北朝鮮問題の外交的解決、憲法違反の安保法制=戦争法の廃止を
第二は、北朝鮮問題と安保法制=戦争法の問題であります。わが党が一貫して主張してきたように、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決の唯一の道は、経済制裁の強化と一体に「対話と交渉による解決」の努力をはかることにあります。
対話を否定し、日米軍事一体化、安保法制発動、大軍拡を進めようという安倍政権の態度は、きわめて危険であります。北朝鮮問題の外交的解決を求め、この問題とのかかわりでも憲法違反の安保法制=戦争法の廃止は急務であることを訴えてたたかいます。
消費税10%の中止、格差と貧困をただす経済民主主義の改革を
第三は、消費税10%の中止、格差と貧困をただす経済民主主義の改革であります。党大会決定では、(1)税金の集め方の改革――消費税10%への増税の中止、富裕層や大企業に応分の負担を求める、(2)税金の使い方の改革――社会保障、若者、子育て中心の予算、(3)働き方の改革――8時間働けばふつうに暮らせる社会、(4)産業構造の改革――大企業と中小企業、大都市と地方などの格差を是正――四つの改革を太く打ち出しています。
党大会決定は、安倍政権が総選挙で打ち出してくるといま報じられている内容にかみあった抜本的対案として、大きな力を発揮すると確信します。その基本を握り、大いに訴えようではありませんか。
安倍政権による憲法9条改定に反対する――この一点で国民的審判を
第四は、安倍政権による憲法9条改定に反対する――この一点での政治的立場の違い、思想・信条の違いを超えた国民的共同を訴え、国民的審判を訴えようではありませんか。
安倍首相が主張する9条改憲は、自衛隊の憲法上の追認にとどまるものではありません。憲法違反の安保法制を合憲化し、無制限の海外での武力行使に道を開くことにその本質があります。総選挙ではこの野望に「ノー」の審判を下そうではありませんか。
そもそも秘密保護法、安保法制=戦争法、「共謀罪」など、立憲主義の破壊を繰り返し、憲法に基づく臨時国会召集すら拒否してきた首相――憲法を守らない首相に、憲法を変える資格はないということを、強調しなければなりません。
核兵器禁止条約に参加する政府をつくろう
第五は、人類の歴史上初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約に、唯一の戦争被爆国・日本の政府が背を向けていいのかという問題です。核兵器禁止条約は昨日、9月20日、署名が開放され、初日だけで50の国が署名し、たいへん良いスタートです。条約が来年に発効することは間違いありません。「日本政府も核兵器禁止条約に参加せよ」、「参加しないというのであれば、核兵器禁止条約に参加する政府をみんなの手でつくろう」――こういう審判を下そうではありませんか。
日本政府が核兵器禁止条約に参加することは、北朝鮮に核を放棄させるうえでも、大義の旗を日本政府が握ることになります。
野党と市民の共闘――安倍政権を倒し、新しい政治をつくるためには、この道しかない
こうした五つの柱を訴えるとともに、この2年間、安保法制=戦争法廃止を原点に、市民のみなさんとともに発展させてきた共闘の流れを、総選挙でさらに大きく発展させるために、ありとあらゆる力をそそぐという基本姿勢を堅持してたたかいます。
野党と市民の共闘は、昨年の参議院選挙、新潟県知事選挙、今年の仙台市長選挙など、その力が2年間の実践で証明された政治の現実であります。それは日本の政治を変えるうえで、国民の共有財産といえると思います。
安倍政権を倒し、新しい政治をつくるためには、この道しかありません。このことを広く国民に訴えてたたかいぬこうではありませんか。
総選挙勝利へ――ただちに取り組むべき三つの課題について
10月22日投票となれば、今日から投票日まで31日間という超短期決戦となります。総選挙をたたかう目標と方針は、すでに党大会決定で詳細に明らかにされています。その全面実践を前提に、ただちに取り組むべき三つの課題について提起したいと思います。
「比例を軸に」を貫き、「全国は一つ」の立場で奮闘し、党躍進の大波を
第一は、「比例を軸に」を貫き、「全国は一つ」の立場で奮闘し、比例代表で「850万票、15%以上」の目標達成をめざし、日本共産党躍進の大波をつくりだすために、あらゆる力を注ごうということであります。比例ブロックごとに政治スローガンを明瞭にし、全国11のすべての比例ブロックで議席増を実現し、比例代表で第3党をめざすという目標をやりぬこうではありませんか。
まず重視すべきは大量政治宣伝であります。比例代表予定候補者、小選挙区予定候補者、国会議員、地方議員が先頭に立ち、宣伝カー、ハンドマイクをフル出動させ、街頭に打って出て、広く国民に日本共産党の声を届けましょう。事前と選挙戦本番の演説会をただちに具体化し、広く案内して、一つ一つを大成功させましょう。ポスターを増刷します。一気にはりだし、ポスター第1党をめざそうではありませんか。
対話・支持拡大は、日本共産党への支持を広げることを正面にすえた対話に取り組み、遅くとも公示までに得票目標を突破し、公示後は青天井で広げましょう。臨時電話の設置、テレデータ、結びつき・「マイ名簿」などあらゆる名簿の活用、後援会ニュースを使った「折り入って作戦」など、対話・支持拡大を飛躍させるために、試されずみの手だてをすべてとりきりましょう。対話・支持拡大と一体に、党員と「しんぶん赤旗」読者拡大のための独自の手だてをとり、党勢の上げ潮のなかで選挙をたたかいましょう。
すべての支部・グループが、1週間以内、9月28日までに緊急の支部会議を開き、県委員長会議の内容を討議・具体化し、得票目標を決定して立ち上がりましょう。
小選挙区――263すべてで打って出る、必勝区のたたかいの基本
第二に、小選挙区のたたかいでは、わが党が予定候補者を擁立している263の小選挙区のすべてで、事務所を構えることを含め、逡巡(しゅんじゅん)なく決断して選挙体制をつくり、比例選挙での党躍進と、小選挙区の勝利、野党共闘の成功を訴えて、いっせいに打って出ることを心から訴えます。
野党共闘による候補者調整がどうなろうと、総選挙では、一つひとつの小選挙区を単位に、日本共産党躍進と野党共闘勝利のためのたたかいを行うことには変わりはありません。いまいっせいに打って出ることが、野党共闘をつくるうえでも力になり、党躍進のうえでも先のたたかいに必ず生きて力を発揮する。そのことを銘記して、わき目もふらず打って出ることを呼びかけるものです。
現在15の小選挙区必勝区のたたかいでは、大会決定で確認したように、比例代表で党躍進の大波をつくる取り組みと、必勝区での勝利をめざす取り組みの一体的追求をはかることが重要であります。大会決定での次の強調を銘記してたたかいたいと思います。
「わが党は、これまで、小選挙区の選挙において、1996年の総選挙、2014年の総選挙で、京都3区、高知1区、沖縄1区で勝利した経験をもっていますが、どの場合にも、比例と小選挙区で重複立候補をした候補者が、党組織と心を一つに、比例ブロックの規模での党躍進の流れをつくる先頭に立ちつつ、小選挙区でも大奮闘し、双方で躍進・勝利をかちとりました。こうした教訓を、新しい情勢のもとで生かすことが、大切であります」
大会決定のこうした立場を堅持して、比例での躍進と一体に、小選挙区においても、全国各地で勝利をかちとっていく選挙に挑戦しようではありませんか。
野党と市民の共闘の具体化――中央が責任をもちつつ、都道府県でも話し合いを
第三に、野党と市民の共闘の具体化については、中央委員会として全力をあげて取り組んでいる過程にあります。共通政策についても、候補者調整についても、党本部間の協議で決めていくことが大原則であり、最善の結果をつくるように努力しているところです。昨日の4野党の書記局長・幹事長会談では、当面の国会対応とともに、総選挙についても、「小選挙区での候補者の一本化を模索する」ことを確認しました。民進党の執行部が新体制になってから初めての確認として、たいへん重要であります。
同時に、都道府県ごとにも、共闘の具体化についての話し合いは、積極的に行っていただきたいと思います。わが党としての共闘についての考え方を、他の野党や、市民連合のみなさんに丁寧に説明し、理解していただくようにすることが大切です。そのさい、とくにお願いしたいのは、話し合いは積極的に行いますが、都道府県だけで約束したり、決定したりはしないということであります。必ず党中央とよく相談しながらことを進める、最終的には党本部間で責任をもって決めていく――このことを大原則として取り組んでいただきたいと思います。
共闘の具体化の前途には、いろいろな困難も予想されますが、わが党は、野党と市民の共闘によって安倍政権を倒し、政治を変えるという党大会決定の大方針を、この総選挙において、どんなことがあっても揺るがず貫く決意であります。
全国各地で「市民連合」がつくられるなど、共闘の流れは、草の根のレベルにもしっかりと根付いています。広い市民のみなさんと力をあわせれば、共闘の前途を必ず切り開くことはできるという確信をもってすすもうではありませんか。
日本の命運を分ける歴史的政治戦――知恵と力を総結集して必ず勝利を
今後の対応としては、解散が予想される28日前後には、緊急の街頭の訴え、政策発表など、選挙戦をたたかう政治的基本方針を、さらに踏み込んで打ち出していくつもりです。さらに、10月3日午後1時から第2回中央委員会総会を開催し、解散前後の情勢の進展も踏まえて選挙戦をたたかう方針を提起いたします。これを全国いっせい決起集会として位置づけ、総選挙勝利の一大跳躍台にしていきたいと思います。
選挙勝利のためには、資金が必要です。選挙勝利のための一大募金運動に取り組むことを訴えます。中央として「国政選挙供託金支援基金」からの拠出を、1選挙区あたり200万円から230万円に引き上げる措置をとることを決定したことをお伝えいたします。
1月の党大会以降の活動を振り返っても、わが党は、安倍暴走政治を追及した国会論戦、都議会議員選挙での躍進、核兵器禁止条約採択に貢献した国際活動など、党大会決定に基づいて多くの成果をあげてきました。党建設の努力は、まだ途上ですが、党大会後、全国で4220人の新しい同志を迎えたことは、党に新鮮な活力をもたらしています。
全党の奮闘でつくりだした勝利への条件に確信をもち、日本の命運をわけるこの歴史的政治戦を、全党のあらゆる知恵と力を総結集してたたかいぬき、野党と市民の共闘の勝利、日本共産党の躍進を必ずかちとろうではありませんか。