2017年9月21日(木)
主張
教育への公的支出
国際水準への引き上げが急務
経済協力開発機構(ОECD)の加盟各国への調査で、学校などの教育機関に対する公的支出の国内総生産(GDP)に占める割合(2014年分)が、日本は比較できる34カ国中最下位となりました。前年は33カ国中32位で、それ以前は6年連続の最下位でした。日本の教育への公的支出の極端な少なさは、世界でも異常な高学費と劣悪な教育・研究条件の根源になっています。教育予算の抜本的増額が必要です。
日本が再び最下位に
OECDが先週(12日)発表した国と地方自治体からの教育機関への支出のGDP比は、日本は前年と同じ3・2%にとどまりました。OECD平均は4・4%、最も高いデンマークは6・3%、次いでノルウェーが6・1%です。
大学など高等教育機関への支出のうち公的支出の割合は、日本はイギリスの28%に次いで低い34%で、OECD平均70%の半分以下です。幼児教育への公的支出の割合も46%で、OECD平均82%を大きく下回り、最下位となっています。
公的支出の少なさは、保護者や学生の私費負担の異常な重さになってあらわれています。
OECD加盟国の半数で学費は無償で、有償の国でも低額です。日本の大学では、入学した年に払う入学金・授業料などが国立で約82万円、私立は平均約131万円にもなります。日本でもようやく給付奨学金が導入されましたが、対象は限られ、学業成績などの厳しい枠もはめられて、経済的に困難な学生でも受給できません。
日本共産党は大学の学費を10年間で半分に引き下げ、当面、学生の4人に1人が月3万円の給付奨学金を受けられるようにすることを提案しています。幼児教育についても、認可保育所の増設などで待機児童の解消を図るとともに、無償化をめざして保育料・幼稚園授業料の軽減を進めることを求めています。高校授業料を軽減・無償化する就学支援金の所得制限をなくすこと、給食や制服、副教材など、義務教育の完全無償化をすすめることも重要です。
公的支出の少なさがもたらしているもう一つの問題は、日本は十分な経済力があるのに、教育・研究条件が極めて貧弱なことです。
欧米では小中学校が1クラス20〜30人なのに、安倍晋三政権は、民主党政権時代に順次実施することを国会の全会一致で決めていた35人学級をストップしてしまいました。6割の中学教員が過労死ライン以上の勤務を強いられるなど教職員の多忙化は深刻です。予算を引き上げて根本的に教職員数を増やすことが急務です。大学の予算削減は、論文数の伸び悩みなど研究の停滞を生んでいます。
政治変え、予算の増額を
教育への公的支出を最低水準に抑えてきた安倍政権の責任は重大です。貧困と格差の拡大に拍車をかける消費税増税ではなく、大企業や富裕層に応分の負担を求める税制改革やムダな軍事費の削減などをすすめ、教育予算を計画的に増やすことが必要です。
教育への公的支出をOECD平均水準まで引き上げれば、保護者・学生の負担を大幅に減らし、教育・研究条件を大きく改善できます。国民の共同で政治を転換し、教育予算を拡充して、国際的にも異常な現状を変えましょう。