2017年9月20日(水)
主張
大義なき解散戦略
安倍政権を倒す絶好の機会に
安倍晋三首相と与党の自民、公明両党が、28日に予定される臨時国会の冒頭で衆議院の解散、総選挙を強行する動きを強めています。現在訪米中の首相が、22日に帰国後表明するとみられます。日本共産党、民進党などの野党は先の通常国会が閉幕した直後から憲法53条にもとづいて臨時国会の開催を要求しており、憲法を踏みにじって開催を3カ月も遅らせたあげく、ようやく開催するとなった途端、まともな審議もしないで冒頭解散を持ち出すなどというのは党利党略、私利私略の極みです。
「森友」「加計」の疑惑隠し
日本共産党など野党が臨時国会の開催を要求してきたのは、安倍政権に関わる大阪の学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げなどの疑惑も、首相の盟友が理事長を務める岡山の学校法人「加計学園」の獣医学部開設をめぐる疑惑も、解明が全く尽くされないまま通常国会が閉会され、国政上の重大課題として国会を開いて疑惑を解明することが求められたからです。
憲法53条は「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と明記しています。にもかかわらず3カ月近くにわたって臨時国会の開催要求にこたえてこなかったのは、文字通り憲法を踏みにじるものです。
しかもようやく開催することになった途端、臨時国会冒頭で解散・総選挙に持ち込もうなどというのは究極の民主主義破壊です。国会での「森友」や「加計」の問題追及を恐れた、全くの疑惑隠しというほかありません。
安倍首相自身、少し前までは、衆議院の解散・総選挙は考えていないと明言していました。それが突然解散・総選挙を持ち出したのは、マスメディアの世論調査で内閣支持率が若干持ち直していることや野党の選挙体制が出来上がっていないことを見越したからといわれます。しかし、国会は「国権の最高機関」であり、予算審議などでは参院より大きな権限を持つ衆院の議員資格を奪う解散が、与党の選挙に都合がよいなどの理由で行われていいはずはありません。それこそ国政の私物化です。
消費税、安保、改憲の危険
突然持ち出した衆議院の解散・総選挙が「森友」「加計」疑惑隠し以外説明がつかないので、安倍政権は慌てて、再来年の消費税増税の使途を見直すためだとか、北朝鮮の核・ミサイル開発に圧力を強めるためだとか、首相が狙う改憲にはずみをつけるなどと言い出しています。その危険は明らかです。
安倍首相が解散・総選挙に動き出したのも、大局的には国政私物化と憲法を踏みにじる政治に対する批判、都議選での惨敗などで国民に追い込まれた結果です。
安倍政権が大義のない解散・総選挙にあくまで固執するなら、市民の力で政権を倒す絶好の機会にするというのが国民の決意です。