2017年9月15日(金)
海自、米艦に給油
北ミサイル監視中のイージス艦に
内容明かさず戦争法実施
海上自衛隊の補給艦が北朝鮮の弾道ミサイルを警戒・監視する米海軍イージス艦に燃料などを提供していたことが14日、分かりました。防衛省関係者が明らかにしました。
安保法制=戦争法の一環として改定され、今年4月に発効した日米ACSA(物品役務相互提供協定)に基づく任務。同法に基づく米軍支援は、5月に日本海に向かう米補給艦を対象に実施された「米艦防護」に次いで2例目と見られます。
いずれの任務も、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射をめぐって米朝間の緊張が高まる中、日米同盟を誇示する狙いであり、核・ミサイル問題の対話による解決に逆行する重大な動きです。
現時点で行っている給油は「平時」の活動ですが、偶発的な衝突が発生した場合、給油は米軍の武力行使の一部となり、一気に「戦時」に突入する危険があります。
菅義偉官房長官は14日の会見で「新たな日米ACSAに従って、実際にそのような活動を行っている」と述べ、改定ACSAの適用を認めました。しかし、「自衛隊・米軍の運用の詳細が明らかになるおそれがある」として、日時や場所・回数などの具体的な活動内容は一切明らかにしませんでした。
河野克俊統合幕僚長も同日の記者会見で、「どういう場面で何を提供しているかは、運用に関わることなのでお答えできない」と詳細を隠しました。
政府は「米艦防護」などの実施状況についても公表しない方針です。「運用上の理由」で秘密主義を強め、国民が知らないうちに日本が「戦時」に突入する事態もありえます。
米艦船への給油 昨年3月に施行された戦争法で、自衛隊法100条の6(米軍に対する物品役務の提供)を改定。「ミサイル防衛」などに従事する米軍への物品・役務の提供が可能となり、これを実施するために日米ACSAも改定されました。海自はこれまで、テロ対策特措法や補給支援特措法に基づき、インド洋で米英などの艦船に給油。「洋上のガソリンスタンド」などと呼ばれていました。