2017年9月14日(木)
堺市長選24日投票 「大阪都」構想でどうなる?
堺の市民税 府が奪う
立命館大学教授 森裕之さんに聞く
堺市長選(24日投票)で争点となっている「大阪都」や財政問題について、立命館大学の森裕之教授(財政学・都市経済学)に聞きました。
(聞き手・笹川神由)
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「大阪都」構想で堺市はどうなるのか。
堺市はなくなって、堺市が持っている豊かな財源=堺市民が払っている税金のかなりの部分が大阪府のものになります。
いま堺市民は年間約1300億円の税金を堺市に払っています。
数百億円規模で
ところが、堺市が「都」構想に組み込まれると、そのうちの約6割が大阪府に奪われ、国からの地方交付税等も合わせれば1000億から1200億円がいったん大阪府のお金になってしまいます。
その後、大阪府が堺市にいくら戻すかを決めることになり、堺市民にはその金額を決める権限はありません。数百億円の単位で減らされるのは間違いありません。
堺市民が納めた税金を大阪府が奪っていく。これが「大阪都」構想の本質です。自分たちが納めた税金を自分たちのために使ってほしいのなら、これに反対しなければいけません。
大阪維新の会は「堺市の借金が増えた」といいますが、それは臨時財政対策債という国の借金の肩代わり分であり、実際には堺市の借金ではありません。
国の統一的な財政指標でみた場合、堺市の財政が大阪市よりも健全なのは明らかです。
自治体の毎年の収入に占める借金返済額の割合を示す指標を「実質公債費比率」といいます。家計で例えると、毎月の収入に対して住宅ローンの返済額がいくらあるかを示したものと同じです。2016年度で大阪市は7・9%ですが、堺市は5・7%と非常に低い。
借金非常に軽い
収入に対してどれだけの純負債総額があるかを示す「将来負担比率」をみても、16年度で堺市は17・5%、大阪市は95・2%です。堺市の借金負担が非常に軽いことは客観的な数字からみても明らかです。
これらの指標は国から肩代わりさせられている借金を差し引いて計算しているので、純粋な自治体の負担がわかります。自治体の財政はこれらの指標でみなければいけません。
ところが、維新はこれらを区別せずに「借金が増えた」と言っています。負債の種類や財政の仕組みを無視して、単に数年間の増減で「堺は停滞している」と喧伝(けんでん)するのは市民のミスリードを誘う悪質な情報操作です。
ウソやデマにまみれた政治がまん延すれば民主主義は機能しなくなります。そういう社会は非常に恐ろしい。この選挙は堺市の自治とともに民主主義を守る選挙でもあると思います。