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2017年9月13日(水)

主張

オスプレイ報告書

「人的ミス」では済まされない

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 沖縄県名護市安部の浅瀬で昨年12月、米海兵隊普天間基地(同県宜野湾市)所属の垂直離着陸機MV22オスプレイが墜落した事故について、防衛省は米軍の最終報告書を公表しました。米軍は報告書の発表を受け、「事故の原因はパイロットのミスだった」と改めて主張しています。しかし、報告書からは逆に、事故がオスプレイの構造的な欠陥に起因していることが浮き彫りになっています。

構造的な欠陥は明らか

 報告書によると、事故は昨年12月13日夜、オスプレイがMC130特殊作戦機と空中給油訓練をしている際に起きました。オスプレイの右側プロペラがMC130から伸びた給油口(ドローグ)に接触してばらばらに壊れ、機体は激しい振動によってバランスが取れず、徐々に下降し、墜落しました。

 驚きを禁じ得ないのは、オスプレイが事故前、空中給油に繰り返し失敗していたことです。

 事故機は機体に付いている給油管(プローブ)とMC130の給油口との接続に「何度も失敗」した後、残燃料についての警告を受けて普天間基地に戻るため方向を転換します。その後も、空中給油を4、5回試みます。そして、最後の試みでパイロットが速度を上げ、MC130と近づきすぎた時、給油口が右方向に動いたため、プロペラと接触しました。

 事故機のパイロットは、空中給油の資格を持ち、当日は事故につながる疲労などの兆候は見られなかったとされます。機体の異常や整備ミスもなかったとされます。それなのに空中給油に何度も失敗し、MC130に近づきすぎたという単純と思われるミスで、なぜあれほど深刻な事故になるのか。

 オスプレイは、プロペラを前方に向けた固定翼モードで空中給油を受けます。その際、左右の巨大なプロペラが給油管の近くで回転しているため、給油口の接続には高度な技術が必要とされます。気流の影響やパイロットのわずかな操縦ミスなどで給油口がプロペラに接触して重大事故になる可能性があるというのは、機体の構造そのものの欠陥に他なりません。

 墜落事故直後の米軍の説明と今回の報告書に見過ごせない食い違いがあることも重大です。

 米軍は当初、空中給油でのこうした事故は初めてとしていましたが、報告書は2015年にも国外で同様の事故があったことを明らかにしています。事故現場も初めは訓練空域内としていましたが、実際は訓練空域ではない与論島沖約15キロの地点でした。

 防衛省は米軍の誤った説明をそのまま発表し、オスプレイの飛行や空中給油訓練の再開を認めました。米軍の最終報告書は4月28日付になっているのに、公表がここまで遅れたのは不都合な事実を隠すためだったのではないか。防衛省の責任が厳しく問われます。

危険な訓練を繰り返す

 報告書によると、事故機は空中給油訓練だけでなく、奄美大島での低空飛行訓練や沖縄本島での離着陸訓練をしていました。事故機と一緒に訓練するはずだった別のオスプレイは離陸前に燃料漏れを起こし、離陸後も機体のトラブルで普天間基地に引き返しています。日常的に危険な訓練やトラブルを繰り返し、いつ事故が起こってもおかしくないオスプレイは撤去するしかありません。


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