2017年9月12日(火)
きょうの潮流
金曜日の昼下がり。那覇市役所裏にある常緑のフクギの木の下に人びとが集まります。揺るぎない決意を胸に秘めながら▼「県庁の周りをまわる/十人前後の小さなデモ/たぶん 世界でもいちばん小さな/いちばん長く続いている/いちばん短い距離の反核デモ」。芝憲子詩集『沖縄という源で』に収められた「那覇の金曜日は」の一編です。核兵器くるなと30年以上も声を上げてきた昼休みデモをうたっています▼本土復帰まで米軍の核基地にされてきた沖縄。世界を破壊するほどの大量の核が持ち込まれ、演習で住民が殺され、最前線として破滅の淵まで追いつめられていました。その実態を極秘文書や当時の関係者の証言であらわにした10日のNHKスペシャル「沖縄と核」は衝撃でした▼番組は那覇の基地で核弾頭を載せたミサイルが誤射され、隠蔽(いんぺい)されてきた事故も掘り起こしていました。沖縄を犠牲にし、県民の命を一顧だにしない日米両政府の横暴に改めて怒りがこみあげてきます▼それは今につながります。ただでさえ事故が多発する欠陥機のオスプレイ。整備不良でトラブル続きの機が普天間基地に戻ってきました。これで主権国家なのか。近くの自治会長は「植民地のような状態」と語っています▼長く住む沖縄は自身の詩の源で、日本人の源の一つ、反戦平和運動の源の一つでもあるという芝さん。「わたしたちの憤りは/根本からなので/落胆するひまがない/誰もが頭のすみで/フェンスが消える日のことを考えている」