2017年9月10日(日)
主張
「働き方改悪」要綱
法案の国会提出を阻止しよう
厚生労働省は8日、「残業代ゼロ法案」と「残業時間の上限規制」法案を「一本化」した労働基準法改定案など8本の法律を一括改定する「働き方改革推進法」の法案要綱を、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会に諮問しました。安倍晋三政権は今月下旬に召集予定の臨時国会に法案を提出することを狙っています。
聞く耳持たぬ安倍政権
労働基準法改定案に盛り込まれた「高度プロフェッショナル制度」(「残業代ゼロ」制度)は、すべての労働団体と、全国過労死を考える家族の会や弁護士団体などの広範な市民団体が「長時間労働と過労死を促進する」「『過労死防止法』の流れに逆行している。容認できない」などと厳しく批判してきたものです。「残業時間の上限規制」についても「月100時間残業合法化は許されない」と広範な労働組合と市民団体が反対してきました。さらに、法案の一本化についても、労働政策審議会労働条件分科会のなかで労働者代表委員が強い反対意見を表明してきました。
ところが安倍政権は、こうした労働者・市民の声をまったく無視して、労働政策審議会への諮問を強行しました。相変わらず聞く耳を持たない政府の傲(ごう)慢(まん)な姿勢は異常というほかありません。とりわけ労働・雇用政策というのは政労使の協議を通じて策定するというのが世界で当たり前のルール(3者構成主義)です。今回の政府のやり方は、この大原則を乱暴に踏みにじるものです。こんなやり方で国会提出を強行しようとする法案は断じて容認できません。
中身も大改悪です。残業時間については、「上限規制」といいながら、「2〜6カ月の平均で月80時間」、繁忙期で「月100時間未満」と定め、過労死ラインの残業時間を公的に容認するものです。
「高度プロフェッショナル制度」は、休憩・有給休暇・割増賃金・労働時間管理などの労働時間規制を完全になくしてしまう制度であり、文字通り日本の労働法制を根幹から覆すものです。
この制度にかかわって、「健康確保措置」として「年104日以上の休日」付与を義務づけています。しかし、いくら義務づけたからといって、お盆も正月もゴールデンウイークも有給休暇もありません。年261日は、無制限の長時間労働をおしつけられます。
このほか、長時間・過密労働の温床となっている裁量労働制の適用を営業職にまで拡大しています。法令に反して営業職に広がっている違法状態を合法化するものです。
今回の法案は、どの点をとっても過労死促進法案そのものです。
幅広い共同と共闘の力で
「働き方大改悪」法案に対し、ナショナルセンターの違いをこえた共同と、野党と市民の共闘をすすめ、国会提出を阻止するためにたたかおうではありませんか。
日本共産党は、残業上限規制に例外を設けず、週15時間、月45時間、年360時間とする厚生労働大臣告示を法定化するとともに、一つの勤務から次の勤務までのあいだに連続11時間の休息時間(勤務間インターバル規制)を設けること、長時間労働の温床となっている裁量労働制等の規制強化などを提案しています。日本共産党は、この対案を掲げて、国会提出阻止のために全力をあげます。