2017年9月5日(火)
主張
V22大分緊急着陸
「安全」はまったくの空約束だ
米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に所属する垂直離着陸機MV22オスプレイが8月29日に大分空港(大分県国東(くにさき)市)に緊急着陸した問題で、機体の安全性について大きな懸念、批判が広がっています。緊急着陸したオスプレイの機体からは一時、白煙と炎が上がり、左エンジン全部と右エンジンの部品を交換する必要があるほど深刻な故障を起こしていました。8月5日に普天間基地所属のオスプレイが豪州沖で墜落事故を起こした後、直ちに「安全宣言」をして飛行の継続を強行してきた米軍と、これを追認してきた日本政府の姿勢が厳しく問われます。
米軍擁護する日本政府
大分空港に緊急着陸したオスプレイは、米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)から普天間基地に戻る途中でした。同機は前日の28日にも、岩国基地で機体から白煙を上げていたことが確認されていました。さらに、6月6日にも米海兵隊伊江島補助飛行場(沖縄県伊江村)に緊急着陸していました。
米軍は当初、大分空港への緊急着陸の理由を警告灯が点灯したための「予防着陸」と説明していました。ところが、実際はパイロットがエンジンの異常に気付き、直ちに着陸する必要があると認識していたことが判明しています。
豪州沖での墜落事故を受け、米軍が8月9日に発表したオスプレイの「安全宣言」は「飛行の準備ができておらず、安全ではない航空機を飛ばし、搭乗員や地元住民を危険にさらすようなことは決してしない」と明言していました。しかし、米軍は今回、「安全ではない航空機を飛ばし」ていたことになり、「安全宣言」がまったくの空約束だったことを浮き彫りにしました。
日本政府の対応も極めて問題です。小野寺五典防衛相は豪州沖の墜落事故を受け、8月6日にオスプレイの「飛行自粛」を米軍に要請しました。しかし、米側は要請を無視して7、8日も飛行を強行しましたが、抗議すらせず事実上黙認しました。米軍が9日に「安全宣言」を出すと、態度を一転、11日に飛行容認を発表しました。
小野寺氏は、大分空港への緊急着陸の前日28日に在日米軍のマルティネス司令官と会談した際、オスプレイの飛行の安全確保を申し入れたとしています。しかし、米軍は同じ28日に岩国基地で白煙を上げていたオスプレイを翌29日に飛ばし、大分空港への緊急着陸という事態を引き起こしました。小野寺氏はこれに抗議するどころか、「予防着陸で事前に大分空港に着陸した」(9月1日の記者会見)と米軍を擁護する始末です。
米軍はオスプレイの機体について「機械的、構造的、システム上の欠陥はない」と繰り返し、日本政府も「理解」を示しています。
「機体そのものに欠陥」
普天間基地所属のオスプレイが昨年12月に沖縄県名護市安部で墜落事故を起こして以降、大分空港への緊急着陸を含め、8カ月間で少なくとも7件の事故などを起こしています。米軍はいずれのケースも詳しい情報を明らかにせず、名護市での墜落事故の報告書さえいまだ公表していません。「機体そのものに欠陥があるからではないか」という指摘は当然です。
沖縄県民はじめ日本国民の安全を守るため、オスプレイの即時飛行中止、撤去こそ必要です。