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2017年8月30日(水)

主張

北のミサイル発射

対話解決に逆行の行為やめよ

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 北朝鮮は29日早朝、北海道を越え太平洋に落下する弾道ミサイルの発射を強行しました。国連安保理決議などへの違反はもちろん、通告もなしに他国上空を通過させる弾道ミサイル発射は、国際的常識を無視した極めて危険な行為で、世界と地域の平和と安定への脅威です。北朝鮮は、これ以上の軍事的な挑発をやめるべきです。

自制の声が広がる中で

 今回の発射は、国際社会が強く自制を求め、対話による問題解決を、米国を含めて模索している中で、それに逆行した暴挙です。

 米国のマティス国防長官とティラーソン国務長官は14日に米紙に寄稿し、「米国は北朝鮮と喜んで交渉する用意がある」と表明、北朝鮮に対し「挑発的な威嚇、核実験、ミサイル発射を直ちに停止して交渉への誠意を示せ」と述べました。15日には韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領が、「朝鮮半島で戦争を再発させてはならない」と演説し、「韓国の同意なしに、どの国も軍事行動を決定できない」と米側にも自制を求め、北朝鮮には「挑発を直ちに停止し対話に応じる」よう求めました。

 一方、北朝鮮は、金正恩(キムジョンウン)労働党委員長が米側の行動を「もう少し見守る」と語り、トランプ米大統領も「非常に賢明で理性的な判断」と応じていました。しかし、米韓の合同軍事演習が始まると、北朝鮮は激しく反発、「(米国は)無慈悲な報復と容赦ない懲罰を免れない」「引き金に指をかけた発射待機状態」(22日、朝鮮人民軍の談話)などと、軍事的な措置を示唆していました。

 米韓の軍事演習への懸念や縮小・停止を求める声が内外で上がっていたのは事実ですが、演習を理由に弾道ミサイルを発射することは、世界と地域の緊張をさらに高めるだけであり、各国が批判と深刻な憂慮を表明したのは当然です。北朝鮮は核・ミサイル開発を続ける構えですが、さらなる国際的孤立を招くだけです。

 いま国際社会と関係国に求められるのは、経済制裁を厳格・全面的に実施することと一体に、困難はあっても対話による問題解決の道を粘り強く追求することです。おびただしい犠牲をもたらす軍事衝突は、絶対に避けなければなりません。

 日本政府が宣伝するミサイル防衛は、迎撃が困難なうえ、たとえ成功しても、「それで国民の安全が確保されるとはかぎらない」(「産経」4月17日付)ものです。「高い所で衝突するので破片は数キロから数十キロの広さで飛散するのではないか。破片の重さが100キロを超える可能性はある」(同記事、自衛隊関係者の話)のが実態です。

緊張緩和の取り組みこそ

 安倍晋三政権は、「今は対話の時ではない」と繰り返し、関係各国と比べ、もっぱら圧力だけ強調する特異な姿勢です。これには元政府関係者も、日本は米朝の直接対話の実現を含め「対話や緊張を低下させる努力を強めるべき」(美根慶樹・元日朝国交正常化交渉日本政府代表)と提起しています。

 5日に全会一致で採択された安保理の新たな制裁決議は、事態の平和的、外交的解決をめざすと表明しました。「対話を通じた平和で包括的な解決を促進する各国の努力、朝鮮半島内外の緊張を緩和する取り組み」こそ、国民の安全を守る責任ある行動です。


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