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2017年8月20日(日)

「線維筋痛症」患者アンケート

医療費が「負担」7割強

「難病」なのに助成指定外

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 難病法が2015年1月に施行され、医療費助成の対象疾病(指定難病)が56から330(今年4月)に拡大しました。しかし、「難病」であるにもかかわらず指定難病の対象から外されている病気もあります。こうした病気の一つ、線維筋痛症の患者の実態をみました。(小山田汐帆)


グラフ:線維筋痛症患者 月あたりの医療費負担(円)

 線維筋痛症は、発症の原因が不明で特効薬がなく、全身に激しい痛みが起きる病気です。「線維筋痛症友の会」のアンケート調査(16年、回答者数768人)には病気の苦しさが、こうつづられています。

日常生活に支障

 「痛みが強い時は1日中ベッドやソファから動けない」「コントロールできない日々の痛みに疲労困憊(こんぱい)」「気圧の谷が近づくと全身の肉をむしられるような痛さに」―。重症化すると、爪や髪への刺激や温度・湿度の変化などで激痛がはしり、日常生活に支障をきたすこともあります。

 早期治療で症状が改善する可能性が高いとされていますが、医療費助成がないため、高額な医療費がのしかかってきます。

 先のアンケートでは、医療費について「負担」と答えた人が約77%(590人)。「大変負担だ」が全体の3割を占め、経済的に「困難」は約74%(572人)にも上ります。

 1カ月の医療費の自己負担額は1万〜2万円未満が約26%(200人)と一番多く(表)、10万円を超える人も。高額な医療費が生活を困窮させており、「経済的にも精神的にも気兼ねなく生活したい」と切実な要望が記されています。

 難病法は、難病一般を▽発病原因が不明▽治療方法が未確立▽希少▽長期療養が必要―と定義。そのうち指定難病の要件として、患者数が約12万人未満で、一定の診断基準が成立していることを挙げています。

 線維筋痛症の患者数は推定約200万人(厚生労働省研究班)。患者数の多さなどを理由に対象外です。

 線維筋痛症患者で友の会の橋本裕子理事長は、「原因不明で治療法がない病気が難病です。重症であれば当然治療や支援は必要。必要な人に必要な対応を、国に求めています」と話します。

就労困難な痛み

 高額な医療費負担がある一方、低収入であることも浮かび上がりました。

 主たる生計は、「家族の収入」が約35%(272人)、「本人の収入」が約22%(169人)。就労について、「問題なく働ける」と答えた人はたった3%でした。

 日常生活でも課題があります。つえや車いすなどは、身体障害者手帳が取れなければ公的補助がなく、全額自己負担です。ホームヘルパーや家族に病気を理解してもらえず、居宅支援制度の利用を諦める患者もいます。

 橋本さんは、国は患者のQOL(生活の質)の低下を把握すべきだとして、こう指摘します。「ヘルパーを年齢や見た目で断られることがあります。私たちは病気を治し、社会で元気に働きたいだけです」


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