2017年8月18日(金)
主張
カジノの解禁
未来に禍根残す暴走やめよ
政府のカジノ推進本部(特定複合観光施設区域整備推進本部、本部長・安倍晋三首相)の有識者会議が、日本国内につくるというカジノ施設の運営基準の報告書をまとめました。これをふまえてカジノ解禁実施法案を、秋の臨時国会に提出するといいます。
公益害す最悪の賭博場
カジノは、人間の射幸心(思いがけない利益を期待する気持ち)を最大限刺激することで、のめり込ませ、胴元が巨大な利益をあげる最悪の賭博場です。カジノの上陸は、日本の将来に大きな禍根を残します。
政府の動きの根拠とされているのは、昨年12月の臨時国会で成立したカジノ解禁推進法です。同法は「施行後1年を目途に」、政府が法制上の措置をとるとしており、実施法案提出は「法定事項」を実務的にすすめることにすぎないという態度をとっています。
こんな言い分は全く通りません。カジノ解禁推進法は臨時国会で、自民、維新、公明の一部が「数の暴力」で強行し、国民に押し付けたものです。国民の大多数の「カジノ反対」の世論は、いまも変わっていません。カジノの是非の議論はすでに終わったとして、このまま前に進むことなど絶対に許されません。
安倍首相は、世論の反対を意識せざるを得ず、推進本部の初会合(4月4日)で「世界最高水準の規制の導入」で「クリーンなカジノを実現する」とのべました。
カジノが導入されたら、ギャンブル依存症の拡大、反社会的勢力の介入、風俗・環境の悪化、青少年への悪影響といった、カジノが必然的に生み出す社会的害悪を無くすことなどできません。
カジノ規制策をまとめた有識者会議の議長が、厳しい規制を課すことで「事業が成り立たなくなっては元も子もない」とのべたことでも話の底が割れています。カジノ推進派だけが集まって、どんなに議論したところで、カジノから国民を守る対策など出てくるはずがないのです。
政府の報告書で、カジノを「新しい公益」「公共政策」と言い切ったことも驚きです。
カジノ議連などカジノ推進派は外国人観光客の増加、地域経済の活性化、雇用・税収増という「経済効果」があると言い募ってきました。それをそのまま「公益」だという政府は、国民の安全と利益を守る立場を失っています。
賭博は、公益を害するから、刑法で禁じているのです。怪しげな「経済効果」をあげて、「カジノがバラ色の未来をひらく」という政府が、早晩、国民から見放されるのは必至です。
前のめりの安倍首相
2000年代初頭から日本の政界に現れたカジノ解禁の動きのなかで、安倍政権ほどカジノに前のめりになった政権はありません。安倍首相は14年5月、カジノ推進派が日本の「お手本」とするシンガポールのカジノ施設を視察し、「日本の成長戦略の目玉になる」とのべました。行き詰まった「アベノミクス」の打開策にしたいという首相の思い込みが、カジノを急浮上させた背景にあります。
日本の経済再生は、カジノとともにはありません。国民のくらしを温めるまともな経済対策こそ求められます。いまカジノ反対の声を広げるときです。