2017年8月13日(日)
主張
V22飛行再開容認
米言いなり、国民はないがしろ
安倍晋三政権が、沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)所属の垂直離着陸機MV22オスプレイのオーストラリア東岸沖の墜落事故を受け、米軍に「飛行自粛」を要請していた態度を一転させ、事故後わずか6日で飛行再開の容認を発表しました。今回の墜落事故をめぐり、翁長雄志沖縄県知事が「日本政府には当事者能力がない。国民を守る気概があるのか」と厳しく批判していた通り、米軍言いなりで日本国民の安全さえないがしろにする安倍政権の対米追随姿勢をあらわにするものです。主権国家の政府としての資格はまったくないというほかありません。
事故原因は明らかにせず
防衛省が飛行再開を認めた11日の発表によると、オーストラリア東岸沖で5日に起きた事故は、強襲揚陸艦ボノム・リシャール(母港・米海軍佐世保基地)から発艦したオスプレイがドック型輸送揚陸艦グリーン・ベイ(同)への着艦中にデッキに衝突し、海に落下したものとされています。
発表は、事故後に米軍が▽オスプレイの部隊の安全・運用手順を確認した▽関係者の目撃情報を収集し、整備や搭乗員の訓練の記録を確認して、事故につながった全要因を分析した▽全隊員に飛行基準や安全手順を順守する重要性を改めて強調した―とし、「MV22の飛行再開は安全である」との結論に達したとしています。その上で「防衛省の知見に照らして、合理的な措置がとられているとみられ、米軍がMV22の安全な飛行は可能であると説明していることは理解できる」としました。
ところが、防衛省の発表が「合理的な措置」と評価した米軍の対応は、第三海兵遠征軍のニコルソン司令官がオスプレイの「安全」を宣言した声明(9日)に書かれていたこととほぼ同じ内容です。
しかも、事故の原因については「調査中」として何も明らかにしておらず、米側の言うことをそのままうのみにしているだけです。安倍政権に「知見」も「当事者能力」もないのは明らかです。
加えて、防衛省の発表は、飛行再開を容認する理由の一つとして「MV22に安全な飛行を妨げるような機械的、構造的及びシステム上の欠陥はないと米軍が認識している」ことを挙げています。“米軍がオスプレイに欠陥はないと認識しているのだから安全だ”と述べているのも同然であり、異常極まる追従ぶりです。
安倍政権は、今回の墜落事故発生の翌日6日、米軍に「飛行自粛」を要請しました。ところが、米側は要請を完全に無視し、7日に普天間基地でオスプレイの飛行を強行し、翌8日には米海兵隊伊江島補助飛行場(沖縄県伊江村)で夜間の離着陸訓練まで行いました。米側の「運用上必要」な飛行だったという説明に対し、安倍政権は抗議すらせず、事実上黙認の態度を取りました。安倍政権に国民の不安に応え、オスプレイの飛行を停止させる意思は最初からなかったことは明白です。
全国でたたかい強めよう
12日に那覇市で開かれた県民大会は、オスプレイ配備撤回、普天間基地の閉鎖・撤去、同基地に代わる名護市辺野古への新基地建設断念を日米両政府に強く求めました。危険なオスプレイの飛行を停止させるため、沖縄をはじめ全国でたたかいを強める時です。