2017年8月11日(金)
閉会中審査
稲田氏ら当事者不在 隠された「日報」真相
南スーダン国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊派遣部隊の「日報」隠ぺい問題をめぐり、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会は10日、閉会中審査を行いましたが、安倍晋三首相、稲田朋美元防衛相ら当事者不在で、真相究明は何ら進みませんでした。政府は特別防衛監察の結果をたてに詳細な説明を拒否。都合の悪いことは徹底的に隠し、組織防衛の姿勢が際立ちました。
稲田氏関与は
最大の焦点は、稲田氏が日報のデータの存在の報告を受けた上で非公表を了承したという隠ぺいへの関与疑惑でした。監察結果は、稲田氏が岡部俊哉前陸上幕僚長や黒江哲郎前防衛事務次官から説明を受けた際に、陸自での日報データの保管について「何らかの発言があった可能性は否定できない」としていました。
こうしたあいまいな点について質疑が集中しましたが、稲田氏や岡部、黒江両氏ら渦中の関係者の出席を与党が拒否し、当事者が不在。小野寺五典防衛相は「関係者の証言があやふやで二転三転し、特定できなかった」との説明を繰り返し、稲田氏には電話で監察に答えたことについて確認したというだけでした。
手書きメモは
フジテレビ系列のFNNが報道した、日報データが存在していたことを稲田氏に報告したことを示す防衛省幹部の手書きの2月13日付メモに名前が出てくる辰己昌良審議官(当時は統合幕僚監部総括官)は、「防衛監察本部の調査に誠実に協力し、真摯(しんし)に答えている。これ以上申し上げることは差し控えたいと」と述べ、答弁拒否を繰り返しました。
手書きメモの存在については小野寺氏が「報道で承知している」と述べるにとどまりました。
野党側は、手書きメモや陸自などが独自に調査し監察本部に提出した報告書の国会への提出を求めました。防衛省は陸自などの報告書の存在は認めていますが、小野寺氏は「監察において入手した資料等については、今後同種の事案において、監察業務に支障をきたすおそれがあることから開示することは困難だ」と拒否。第三者機関などによる日報問題の再調査の要請も、「監察結果はしっかり報告された内容だ」として拒否しました。
拒否姿勢批判
特別防衛監察を背景に徹底的に詳細な説明を拒否する安倍政権。国会の国政調査権を軽視し、ないがしろにする姿勢に、民進党の後藤祐一衆院議員は「今後、どんなことが起きても監察を行えば国会での答弁を拒否できるということか」と抗議。日本共産党の笠井亮衆院議員も「まさに監察を隠れみのにして説明を拒否している」として、安倍政権の姿勢を厳しく批判しました。