2017年8月2日(水)
森友・加計 「学園」疑惑に共通構図
設置認可 財政支援 政治的な力
背後に安倍首相夫妻
二つの学校法人をめぐる疑惑が、国政の焦点になっています。前理事長の籠池泰典容疑者(64)夫妻が逮捕された森友学園(大阪市)と、加計学園(岡山市)です。両者には国や地方自治体から“優遇”をうけるなど、多くの共通点があります。その背景に何があるのか―。(三浦誠)
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「加計学園と森友学園の問題は、非常に構図が似ている。両方に、学校の設置認可、公的支援、なんらかの政治的な力が働いているという疑惑がある」。文部科学省の前川喜平前事務次官は会見で、そう指摘しています。
森友学園は今年4月の小学校開校を目指し設置許可を大阪府に申請。寄付金頼みの計画に府私学審議会で異論が続出しましたが、条件付きで「認可適当」という異例の扱いに。
財政面では財務省近畿財務局が、国有地を約8億円値引きして1億3400万円で売却。その際、財務局は学校法人の「資金計画の確実性」を審査するとした通達に反する形で売却しました。
2018年4月の獣医学部開学を目指す加計学園は、安倍晋三首相がトップダウンで進める国家戦略特区の特例を活用して申請にこぎつけました。愛媛県と今治市から上限96億円の建設補助金があり、市からは土地(37億円相当)の無償提供を受けています。
両者とも、設置認可と財政面で特別な支援を受けた形です。
「政治的な力」では共通点がよりはっきりと表れています。安倍首相夫妻の存在です。
安倍首相は加計学園の加計孝太郎理事長と親友。首相夫人の昭恵氏も系列の保育施設の名誉園長で夫妻ともに交友があります。前川前事務次官は、加計学園が18年4月に獣医学部を開学することが「総理のご意向」だったと指摘。文科省の内部文書には、首相側近の萩生田光一官房副長官が、文科省に開学を急がせていたことも記されています。
昭恵氏は森友学園の小学校で名誉校長を務めていました。籠池容疑者は国有地取引について昭恵氏に報告していたと証言。国有地売却が急速に進んだ背後に、昭恵氏の影響があったとの見方を示しています。
政府関係者は指摘します。「森友は今年4月開校、加計は18年4月開学が決まっていた。その時期にあわせて、複数の省庁と地方自治体とを同じ方向で連携させるには、全体を統括する司令塔がいないとできない。それができるのは首相官邸だ」