2017年8月1日(火)
原発なくせ 民意示す場
活動継続へ支援呼びかけ
首都圏反原発連合 ミサオ・レッドウルフさんインタビュー
首都圏反原発連合(反原連)の首相官邸前抗議は、5年を超えて続けられ、原発ゼロを求める世論を可視化し続けてきました。市民が国会前、首相官邸前で声をあげる道も切り開いてきました。原発をなくすためあと2年以上活動を継続することを決め、市民に支援を呼びかけています。ミサオ・レッドウルフさんに、首相官邸前抗議が果たしてきた役割と今後の決意を聞きました。
(内田達朗)
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―5年4カ月間、毎週抗議を続けてきましたね。
首都圏反原発連合(反原連)の首相官邸前抗議は、2012年3月29日に始まり、5年4カ月になりました。
12年6月29日には首相官邸前抗議に20万人が参加し、多くの国民が「脱原発」を求めていることを示しました。その後、当時の野田佳彦首相に会って「原発ゼロ」を要求し、民主党政権が「2030年代に原発ゼロ」を打ち出しました。「市民の力で政治を動かした」と強く感じました。
毎週金曜日、ずっと抗議を続けることは、当初は想定していませんでした。政府・政治の動きを見ていくなかで、メンバーと「来週もやろう」と確認しながら、毎週金曜日の抗議となりました。
続けていくなかでは、「誰でも安心して参加できる場」の確保に心を砕きました。保守の立場の人でも「原発ゼロ」を求める人はいます。そういう人も参加できるよう「脱原発」のシングルイシュー(一つの政治的テーマ)の抗議にしました。民意を最大限示すためです。労働組合の名前だけののぼりを降ろしてもらい、反原発の意思を示すものにしてもらったり、抗議時間中のビラ配布を控えてもらったりしました。
そして、どんなに盛り上がっても午後8時にはきちんと終わる。そして、非暴力を貫くことに一番こだわりました。何か暴力ざたがあれば、メディアなどの攻撃を受け、運動がつぶされてしまうと考えたからです。
立場超えた共同
―共同を広げる努力をしてきましたね。
12年12月、第2次安倍晋三政権が発足し、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けた「エネルギー基本計画」の閣議決定(14年4月)など、原発推進の姿勢が鮮明になりました。
「反原発のより大きな民意を示す必要がある」と考え、「原発をなくす全国連絡会」と「さようなら原発1000万人アクション」に共同での抗議を呼びかけました。
この両者の間には、これまでさまざまな経緯があったと思います。最初は「歴史的にいろいろあるから」と慎重な声も出たようです。しかし、それぞれのリーダーがその経緯を乗り越えて、「NO NUKES DAY(ノーニュークスデイ)」の統一ロゴを掲げた反原発の大規模抗議を実現しました。決断してくれたリーダーには敬意を表したいと思います。
―「安倍政権NO!実行委員会」にも参加しています。
「原発をなくすには安倍政権を倒すしかない」と考えました。「NO NUKES」のシングルイシューという反原連の基本を保ちつつ共同を広げるため、さまざまなイシューの人たちと実行委員会をつくりました。
この共同の実現は、市民が立場を超え、ともに声をあげること、市民と野党の共同につながっているのだと思います。
秘密保護法(13年12月)や安保法制の強行(15年9月)などその危険性があらわになるなか、これに反対する共同の必要性を感じています。
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声をあげ続ける
―今回初めてカンパを呼びかけました。
安倍政権があらゆる分野で暴走を続け、イシューが分散するなどして、反原連の首相官邸前抗議への参加者はピーク時に比べると減ってきました。
原発をなくすために、今後2年間は活動を続けたいのですが、資金的にも困難な状況です。しかし、首相官邸前抗議を必要とする人がいる以上、この「器」を維持していきたい。この「器」は私たちメンバーだけのものではありません。勝手にやめるわけにはいきません。なのでドネーション(カンパ)を呼びかけています。
反原連の活動は、みなさんに支えられてきました。抗議に必要な機材保管のための倉庫のレンタル、機材・消耗品の購入、フライヤーやリーフレットの印刷費など経費がかかっています。誰かの生活を犠牲にすれば、運動が長続きしないと考え、スタッフ全員への交通費の支給、必要最低限の人件費の確保などもしてきました。経理処理は、税理士事務所に委託しています。
反原連のホームページの「ドネーション(カンパ)・プロジェクト2017」をクリックすると振り込み先の口座などが表示されます。みなさんのご協力を、お願いいたします。
―本紙が3月時点で調べたところ、全国70カ所で毎週金曜夜の抗議行動が続けられています。
全国各地で、数人でも抗議の声をあげ続けている人がいることも、私たちが今後も首相官邸前抗議を続けようと考えた大きな理由です。全国のみなさんとこれからも原発反対の声をともにあげ続けていきます。