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2017年7月31日(月)

主張

性犯罪の刑法改正

人間の尊厳守る社会への一歩

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 性犯罪に関する刑法の規定の抜本的な改定が、先の通常国会で全会一致で行われ、7月13日から施行されました。

 性犯罪に関する規定の大きな見直しは、1907年の刑法制定以来110年ぶりのことです。

被害者の声と運動が力に

 今回の刑法改正は、日本の社会のなかで遅れた分野となっている性暴力にたいする対応の改善へ、一歩すすめたものです。

 主な改正は、強姦(ごうかん)罪の構成要件の見直しと罪名の「強制性交等罪」への変更、被害者を男性に広げること、強制性交等罪などの法定刑の引き上げ、監護者であることによる影響力に乗じたわいせつな行為等の処罰規定の新設、被害者の告訴がなくても起訴できる非親告罪化などです。法務省法制審議会で2014年10月以来2年半におよぶ検討が行われ、まとめられました。

 これらの多くは、性犯罪被害と性暴力をなくしてほしいと声を上げはじめた性犯罪被害者、被害者支援団体、弁護士、医師、研究者などさまざまな分野の支援者たちが強く改正を求め続けてきたものです。

 今回、「性犯罪は、被害者の心身に多大な苦痛を与え続けるばかりか、人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪」と規定されたことも重要な点といえます。

 “110年ぶりの改正”であるにもかかわらず、政府・与党は「共謀罪」法案の審議を優先し、衆院も、参院も、わずかな審議時間しか確保されませんでした。こうしたもとで、今後に検討や議論が必要な課題が残されました。

 暴行・脅迫がなければ強姦罪と認められない規定、年少の被害者の場合の時効停止、配偶者間の強姦が成立するかなどの論点は、今後の課題となっています。非親告罪化によるプライバシーの侵害、量刑の下限引き上げなどへの不安や意見なども出されています。

 3年後の見直しにむけて、被害者、支援者、専門家をふくめて、検討をすすめることが求められます。

 また、被害者支援、2次被害の防止などのトータルな対策、加害者教育、再発防止などもいますぐ強めることが必要です。

 日本共産党は国会質問で、捜査や裁判のなかで命がけで抵抗したかなどと問われることは被害者の苦しみとなっており、同意がないことの証しは別の規定の仕方があること、子どもの心理的負担の軽減、医療機関との連携強化などの提案をしています。被害者の声と支援者、専門家とともに、前進させるために引き続き力を尽くします。

性暴力うまない社会こそ

 大切なことは今回の刑法改正を機に、性犯罪を許さない国民的な世論と運動を広げることです。

 日本では、性の商品化が野放しにされ、メディア、ゲーム、漫画、インターネットなどを通じて、日常の生活に洪水のように女性蔑視の風潮やポルノ情報が流されています。営業登録数3万件を超える性風俗産業、ポルノ産業が暴力団などの違法ビジネスとあいまって、女子高生や児童までもが傷つけられています。

 日本共産党は、両性の平等、男女の人間としての尊厳を尊重する社会的なモラルを確立する世論と運動を広げ、性暴力をうまない社会をつくるために奮闘します。


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