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2017年7月26日(水)

主張

相模原事件1年

障害者の尊厳守られる社会を

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 神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害され、職員を含む27人が重軽傷を負った事件からきょうで1年です。重い障害のある人ばかり狙った残虐な犯行、元施設職員の被告が発した「障害者なんていなくなればいい」などの異常極まる発言―。障害者の生存と尊厳を真っ向から否定した考えと犯罪は内外に衝撃を広げ、とりわけ全国の障害者や家族はわがことと受け止めて深く傷つき、怒りや悲しみを募らせました。障害者の命と尊厳が保障され、安心して暮らせる社会をどのように築いていくのか。あらためて問われます。

理不尽な犯罪で命奪われ

 悲惨な事件発生から1年の節目に、遺族や関係者らは犠牲者追悼の催しなどで理不尽な犯罪で命を奪われた人たちのことを「決して忘れない」と誓い合いました。遺族や重軽傷を負った人をはじめ「やまゆり園」入所者、職員の心の傷はいまも癒えずにいます。

 この事件が特別に深刻なのは、元職員が障害者に対する憎悪を増幅させて大量殺人を計画し、実行に踏み切ったとされることです。事件後明らかになった衆院議長あての元職員の「手紙」は「障害者は不幸を作ることしかできない」などと記し、その「抹殺」を主張する異様でおぞましい内容に満ちたものでした。障害者施設で働いていた人物がなぜ障害者への憎しみを募らせ残忍な凶行に及んだのか。元職員は今年2月に起訴され裁判はこれからですが、二度と事件を繰り返さないためにも公判の中で真相解明が求められます。

 事件をきっかけに多くの障害者や家族らが危機感を強めたのは、障害者など社会的弱者や少数者への差別や偏見、排除の社会的風潮が強まる中で事件が引き起こされたのではないかということです。元職員の考えは“人は生まれながらに優劣があり、劣る者は存在が否定される”という「優生思想」そのものだからです。第2次大戦前、ドイツのヒトラー政権が「優生思想」により多くの障害者を「価値なき命」として計画的に殺害したことと今回の事件を重ね合わせた人たちも少なくありません。

 現在の日本社会も、誤った考えを台頭させかねない土壌と無縁といえないことが深刻です。「経済的な効率」「成果」などで人を評価し、貧困と格差の問題を「個人の自己責任」にすりかえ、障害者や高齢者への社会保障予算を「日本経済のお荷物」とみなす―。差別と偏見を助長する危険な考えを広げないための国民的な合意と取り組みを進めることが重要です。

 安倍晋三政権が、事件の「再発防止」を口実に、精神障害者を強制的に入院させる仕組みを強める精神保健福祉法改定案を国会提出し、成立を狙っていることは重大です。精神障害者を危険視する発想の法案は廃案にすべきです。

憲法と権利条約を力に

 日本が批准した障害者権利条約は、すべての障害者に「他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で尊重される権利」を保障しています。憲法13条の「すべての国民は、個人として尊重される」と共通するものです。

 憲法や権利条約を力に社会的支援が必要な人を排除することを許さず、障害のある人もない人も尊重され多様な生き方ができる社会を実現していくことが必要です。


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