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2017年7月22日(土)

豊洲「無害化」 都が撤回

市場移転へ新方針

「来年春〜秋に環境整備」

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 東京都は21日、築地市場の豊洲新市場(江東区、東京ガス工場跡地)への移転に向けた関係局長会議を開きました。都はこれまで、豊洲新市場予定地の土壌汚染を環境基準以下にする「無害化」が新市場開設の前提だと市場業者や都議会などで説明してきましたが、会議では「無害化」方針を撤回して新たな移転方針が示されました。


写真

(写真)豊洲新市場・青果棟の地下の空洞内にたまった水を調査する日本共産党都議団=2016年9月7日、共産党都議団提供

 無害化に代わる新たな方針は、専門家会議が提言した追加の対策工事を実施することで「地上の安全を確保」し、地下水管理システムの機能強化で中長期的に汚染地下水の水質改善を図るというものです。

 小池百合子知事は会議で、「豊洲市場への早期移転の円滑な実施」を指示しました。具体的には、移転に必要な環境影響評価(アセスメント)の変更届けを8月中旬までに提出し、速やかに環境影響評価審議会を開催。補正予算措置を講じて汚染の追加対策工事を約6カ月間で実施し、国の認可手続きなどを経て、2018年春から秋にかけて移転環境を整えるとしています。

 一方、築地市場については、豊洲移転後、速やかに解体工事に着手し、20年3月末をめどに環状2号線と20年東京五輪の輸送拠点を整備。築地市場の「再開発」は、「民間主導で行う方向で検討」する一方、「将来、築地に戻ることを希望する仲卸業者に応える方策の検討を行う」としました。


解説

「食の安全・安心」なおざりに 

 小池知事は就任直後の16年8月31日、同年11月7日に予定されていた豊洲新市場の開場計画の延期を発表しました。移転延期の大きな理由として、土壌汚染の懸念をあげていたのです。

 それにもかかわらず、都が豊洲新市場の土壌の「無害化」の約束をほごにして早期移転方針を打ち出したことは、「食の安全・安心」を求め、築地ブランドを守ってほしいと願っていた都民や市場業者を裏切るものです。

 都は、新市場予定地の土壌や地下水が高濃度の有害物質で汚染されたままであるにもかかわらず、地中の汚染物質を環境基準以下に「無害化」するという従来方針を撤回。「専門的・科学的で妥当な対策を講じる」として示した対策工事は、地下水管理システムの揚水井戸増設、地下空間の床面へのコンクリート敷設などですが、いずれも専門家から、「科学的に裏付けのない対策」だと批判されているものです。

 たとえば、畑明郎・日本環境学会元会長らは、「汚染実態の究明を放棄した無謀な場当たり的な対策だ」「汚染土壌を掘削除去しない限り、汚染地下水の完全浄化は困難だ」と厳しく指摘しています。

 築地市場の水産・青果仲卸業者の多数は、移転せず築地での再整備を求めています。

 築地市場の二つの青果仲卸団体は今年2月、組合員の97業者に対して「食の安心・安全が担保されない限り、豊洲市場への移転はできない」「小池都知事の安心・安全宣言及び農水省の認可が下りたとしても、都民及び日本国民の豊洲市場に向けた目は非常に厳しいものがあります」との文書を配布しました。

 築地市場を完全に解体する方針に対しては、建築家からも反対の声があがっています。国際的な建築家団体「ドコモモ」の日本支部は、築地市場について「高い建築史的価値が認められる」として、「保存活用を」と求めています。

 小池知事が、「食の安全・安心」を憂慮する市場業者や都民の意見も聞かないまま、豊洲への早期移転を進めることに、批判があがることは必至です。

 (東京都・川井亮、岡部裕三)


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