2017年7月17日(月)
警察庁がパチンコ出玉規制案
カジノ解禁へアリバイ!?
警察庁は「過度な遊技の抑制を図る」として、パチンコの出玉の上限を現行の3分の2程度の水準に引き下げる風営法施行規則などの改定案を公表(11日)、一般からの意見を募集しています。
パチンコ業界が行っている出玉景品の換金行為は、刑法の賭博禁止に抵触する疑いがあります。警察庁は、店が直接換金せずに景品交換所や景品卸売業者を経由させる「3店方式」による換金なら「ただちに違法とはいえない」という態度で、パチンコ換金を容認。その結果、実質的には賭博場であるパチンコ店が全国に約1万1000店、年間売上23兆2000億円(2015年、『レジャー白書』)という巨大な規模に広がり、深刻なギャンブル被害をもたらしています。
警察庁の案は、1日に4時間程度パチンコをした場合の「勝ち」の上限を、現行の十数万円から5万円を下回る水準に引き下げるというものです。
業界が設置したパチンコ依存の相談機関に相談した人の7割は、1カ月に5万円以上の損をしていたといいます。これに着目し、「勝ち」の上限を引き下げることで、「一発逆転」で負けを一度に取り戻すことはできない仕様とすることで、のめりこむリスクを減らせるという理屈です。
「自分だけは勝てるはず」と考えるのがギャンブル依存に特有の状態で、警察庁案は空論としかいいようがありません。
カジノ解禁推進法案を昨年12月に強行成立させた安倍晋三内閣は、ギャンブル依存症問題への懸念の広がりを無視できず、「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」を開くなど、競馬、競輪、パチンコなど既存ギャンブルへの規制を強化するというポーズをとっています。
カジノを解禁するためのアリバイとして出した「対策」が、これほど実効性に乏しいものであることは皮肉です。パチンコの害悪にしっかり向き合い根本的な対策をとることが求められます。新たなギャンブル被害を生むカジノ解禁は論外であり、やめるべきです。
(竹腰将弘)
3店方式 パチンコ店が出玉景品を直接客から買い取る換金行為は風営法で禁じられています。この規制を逃れるために(1)客がパチンコ店で出玉を特殊な景品と交換(2)特殊景品を店外の景品買取所で換金(3)換金された特殊景品は問屋を通じてパチンコ店に戻る―という3店を循環させる方式。1960年代に、大阪で、警察OBによって編み出されました。