2017年7月16日(日)
主張
辺野古新基地訴訟
安倍政権は違法工事をやめよ
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、翁長雄志知事が埋め立て工事の差し止めを求め、国を相手に訴訟を起こす議案が県議会本会議で可決されました(14日)。差し止め訴訟は、法令上不可欠な県知事の許可を得ないで国が埋め立て工事を強行し、岩礁を破壊しようとしていることをやめさせるためです。月内に那覇地裁に提訴し、併せて判決までの間、工事を中断させる仮処分の申し立ても行います。新基地建設を「唯一の選択肢」として強権的な手法で違法な工事を進める安倍政権の暴走にストップをかけるたたかいをさらに広げることが必要です。
従来の水産庁見解を覆す
防衛省の沖縄防衛局は4月25日から、辺野古沿岸部の埋め立て予定海域を囲い込む堤防を造るため、護岸工事を強行しています。
沖縄防衛局に岩礁の破壊を認めた仲井真弘多前知事の「岩礁破砕許可」は、3月末で期限が切れています。このため、翁長知事は、沖縄防衛局に岩礁破砕許可を改めて申請するよう再三にわたり行政指導をしてきました。しかし、沖縄防衛局はこれを拒否しました。
知事の岩礁破砕許可は法令上、「漁業権の設定されている漁場」でサンゴなどの岩礁を破壊する工事の際に必要です。ところが、沖縄防衛局は、埋め立て工事の関係海域について、名護漁協が「漁業権の一部放棄」を決議したことから「漁業権の設定されている漁場」ではなくなったとして、許可は不要と居直っています。
沖縄防衛局の主張は、水産庁が3月に出した新見解が根拠です。しかし、これは、水産庁の従来の見解とは百八十度異なります。
沖縄県に対する水産庁の「技術的助言」(2012年)は、漁協が「漁業権の変更(一部放棄)」を議決しても「漁業権が当然に変更されるものではない」との見解を明確に示しています。
法令上、「漁業権の変更(一部放棄)」には、知事の免許が不可欠です。埋め立て工事の関係海域は、知事の漁業権変更の免許は出ておらず、依然、「漁業権が設定されている漁場」です。そうした海域で知事の岩礁破砕許可を得ずに工事を進めるのは違法そのものです。
知事の関与を排除するため、従来の見解をいとも簡単にねじ曲げてしまうのは、安倍政権の反法治主義的な本質を示しています。
これまで新基地建設をめぐる主な訴訟には、▽仲井真前知事の辺野古沿岸部の埋め立て承認を翁長知事が取り消したことを国が撤回するための「代執行訴訟」(後に「和解」成立)▽翁長知事の埋め立て承認取り消し処分を国が取り下げるよう求めた「是正の指示」に知事が従わないことについての「違法確認訴訟」―があります。
県民大会の大きな成功を
安倍政権は、「違法確認訴訟」での最高裁の国側勝訴の不当判決や「代執行訴訟」での「和解」を持ち出し、知事の提訴が不当であるかのように印象付けようとしています。しかし、埋め立て承認の手続きをめぐる訴訟と岩礁破壊の差し止め訴訟は無関係です。そもそも新基地建設の強行自体が県民の声に逆らう不当極まるものです。
来月12日には、護岸工事強行後初めての新基地反対の県民大会が開かれます。翁長知事と県民のたたかいを支える全国の世論を大きくすることが求められます。