「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年7月13日(木)

「最低賃金1万ウォン」へ攻防

政権交代後、初の政労使協議

韓国

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 韓国で来年の最低賃金が16日に告示されるのを前に、二大労組や非正規雇用者の労組などが時給1万ウォン(約993円)を求める運動を展開しています。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は選挙中から1万ウォンを公約に掲げており、政権交代後、初の交渉の場となる最低賃金委員会の協議が注目されています。

 (栗原千鶴)


16日に告示予定

 韓国の最低賃金は全国一律。労働者代表の労働委員、経済界を代表する使用者委員、政府の立場から参加する公益委員の27人で構成する最低賃金委員会で協議し、出席委員の過半数以上の賛成で最低賃金を決めます。

 2017年は時給6470ウォンでした。労働者側は前年比54・6%引き上げの1万ウォンを要求。使用者側は155ウォン引き上げ6625ウォンを提示しています。

 現地からの報道によると、全国民主労働組合総連盟と韓国労働組合総連盟の二大労組は11日、ソウル市内で合同記者会見を開き、今年1〜3月期の家計負債が過去最大の約1359兆ウォンになったことを指摘。「持続可能な社会に向けて、(時給1万ウォンは)最低限の要求だ」と力を込めました。

 一方、韓国の雇用で87%を占めている中小業者は、時給を1万ウォンに引き上げた場合、倒産や雇用減につながると反発を強めています。

 中小企業中央会が行ったアンケートによると、最低賃金が急激に上がった場合の対応策として「新規雇用の縮小」と答えた企業が約56%でトップ。続いて「人員削減」「廃業」「賃金カット」と続きました。

 また1万ウォンに引き上げた場合の影響を軽減するために必要な政府の支援として「最低賃金引き上げに伴う賃金保全支援」との回答が61%と最も多く、「保険料支援の拡大」「税制優遇」などでした。中央会は「1万ウォンの引き上げとともに中小企業への支援が絶対に必要だ」と主張しています。

 両労組は、中小業者への支援をともに模索していこうと使用者委員に提案したが拒まれたとし、「経営者はひたすら最低賃金を極力少なく引き上げることだけにしか関心がない」と批判しました。

 文政府は2020年までに1万ウォンを公約しており、18年を7481ウォン、19年に8649ウォンの計画を発表しています。中小業者への支援などを打ち出していますが、具体案はまだ見えてきません。

 政府の立場を代弁する公益委員は様子見状態です。韓国メディアは公益委員が「仲介役としての役割を果たしていない」「庶民の生活を理解し、尊厳のために働く使命があるのに仕事をしていない」などと批判しています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって