2017年7月13日(木)
広がる「共謀罪」廃止の声
日弁連・全国36弁護士会表明
11日に施行された「共謀罪」法について、同法の成立以後の短期間で、日本弁護士連合会(中本和洋会長)と全国36の単位弁護士会が廃止と強行成立に抗議する声明・談話を発表していることが、本紙の調べでわかりました。
同法をめぐっては、全52の単位弁護士会が法案時から廃案を求める声明を出し、強く反対してきました。成立から1カ月もたたない中で、再度の反対を約7割が表明したことは、同法への懸念と怒りが収まっていないことを示しています。
「共謀罪」法は、参院法務委員会での採決を省略するという異常な手続きで、6月15日、本会議で強行採決され、成立しました。
こうしたやり方について、栃木県弁護士会は「戦後憲政史上の汚点」ときびしく非難。「主権者たる国民を軽んじていると言わざるをえない」(福島県)などと、いずれの声明も政府・与党の国民軽視を指摘しています。
同時に各弁護士会は、同法廃止のために運動を強める決意を表明。「廃止までの間、本法が恣意(しい)的に運用され、国民の人権が侵害されることのないよう、厳しく監視をしていく」(仙台)、「今後、成立した本法の廃止に向けて取り組みを続ける」(佐賀県)などと強調しています。
地方議会でも
「共謀罪」法(11日施行)に対し、国会での強行成立(6月15日)以降、「廃止」要求や「反対」「抗議」の意見書が、12日までに少なくとも17の地方議会で可決されたことが本紙の調べで分かりました。全国の地方議会で自民、公明両党が「廃止」などを求める意見書案を否決している一方で、共同の力による廃止の動きが生まれています。
埼玉県東松山市議会は6月23日、「共謀罪」法の廃止を求める意見書を賛成10(日本共産党、保守系)、反対9(公明、保守系)で可決。意見書は、「プライバシーや表現の自由を制約するものと危惧され、思想・良心の自由を保障した憲法19条に反する違憲立法である」と断じ、「一般市民が処罰されることが否定できない」と指摘し、「市民同士が互いに信頼に満ち、安心して平和に暮らせる社会を子や孫たちに引き渡すため」に廃止を求めています。
同様の廃止を求める意見書を同21日に山形県内で最初に可決した南陽市議会では、提出者には無党派議員が、賛成者には日本共産党の佐藤明市議らが名を連ねて意見書案を提出。採決では賛成・反対が同数となったものの、議長が裁決権を行使して賛成したため、賛成9・反対8で可決されました。
京都府京田辺市議会では同28日、日本共産党が強行採決に強く抗議し、法の執行停止と撤廃を求める意見書を提案し賛成多数で可決。「国民の権利を侵害する危険が大きい」とし、自民、公明両党が委員会採決を省いて参院本会議採決に持ち込む「中間報告」を行ったことについて「議会制民主主義を踏みにじる暴挙であり、断じて許されるものではない」と厳しく批判しています。
北海道旭川市議会が同27日に可決した、法成立に抗議し一刻も早い廃止を求める意見書は「既遂の処罰を原則とする刑事法体系の原則をも大きく変えるもの」「監視社会を招くという強い不安がある」と強調。日本共産党や他会派と無所属の議員が賛成しました。
「共謀罪」法に対する地方議会の意見書(6月15日の強行成立後)
[北海道]
剣淵町 共謀罪創設に反対し廃止を求める 6月21日
東川町 法の撤回を強く求める 6月22日
旭川市 法成立に抗議し、一刻も早い廃止を求める 6月27日
[岩手県]
陸前高田市 強行成立に強く抗議する 6月20日
[福島県]
只見町 共謀罪の廃止を強く求める6月16日
[山形県]
山形市 強行可決に抗議し断固として廃止を求める 6月30日
南陽市 法の廃止を求める 6月21日
[新潟県]
聖籠町 共謀罪の廃止を強く求める6月19日
田上町 強行採決に強い怒りをもって抗議する 6月27日
[茨城県]
美浦村 共謀罪に反対する 6月16日
[埼玉県]
東松山市 共謀罪法の廃止を求める6月23日
[神奈川県]
葉山町 強行採決に抗議し廃止を強く求める 6月29日
[長野県]
阿智村 法律の廃止を強く求める6月22日
中川村 国民の思想・内心の自由を侵す憲法違反の共謀罪法に反対する 6月20日
[京都府]
京田辺市 強行採決に強く抗議し、法の執行の停止と撤廃を求める 6月28日
[熊本県]
八代市 成立と強行採決に強く抗議する 6月28日
[沖縄県]
西原町 法の廃止を強く求める意見書 6月16日