2017年7月12日(水)
避難指示解除から1年
福島 南相馬市小高区を訪ねて
通学・買い物…生活大変
東京電力福島第1原発事故から6年4カ月。福島県南相馬市小高区は12日に、原発事故による避難指示が解除され1年を迎えます。現在の南相馬市小高区を訪ねました。(伊藤佑亮)
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福島第1原発から20キロ圏内に位置する同区。2016年7月12日、帰還困難区域(1世帯2人)を除く避難指示解除準備、居住制限の両区域が解除されました。解除に合わせJR常磐線原ノ町―小高間(9・4キロ)の営業も再開されました。
同市によると今年6月30日現在、小高区の居住者数は2008人。2011年3月11日時点での人口(1万2842人)に比べ、約15%の帰還にとどまっています。
小高駅前は1年前と変わらぬ静かな光景です。駅前の放射線量を測るモニタリングポストは、6日午前11時現在、毎時0・132マイクロシーベルト。一般人の年間追加被ばく線量の上限(1ミリシーベルト)は毎時0・23マイクロシーベルトとされています。
歯医者がいない
駅から西に延びる大きな通りを女性(76)が自転車を押して歩いていました。女性は昨年7月末に同区に戻りました。
「戻ってきているのは多くが高齢者です。私は運転ができないので買い物は親戚に連れて行ってもらっています。電車で原町区まで買い物に行くと小高駅から家まで重くて運べない」といいます。生活上困っていることに「歯医者がいないこと」をあげました。
JR常磐線は昨年12月に小高―仙台間で、今年4月には小高―浪江間で営業を再開しました。住民や高校生、観光客などに幅広く利用されています。
午後3時半、1台のバスが駅前に到着しバスから高校生たちが笑い声をあげながら次々と下車し、駅舎に入っていきました。
原町区から県立小高産業技術高校の流通ビジネス科に通う女子生徒=3年生=(18)は「通学が大変ですが、小高の街の復興につながったら」といいます。
同じく電気科に通う男子生徒=3年生=(18)は「朝の電車を1本乗り過ごしてしまうと遅刻してしまいます。電車の本数を増やしてほしい。登校だけで気疲れしてしまう」と話します。
原発事故の影響でこれまで同市原町区の仮設校舎で授業を続けていた小高工業高校と小高商業高校は今年4月、小高産業技術高校に統合し、小高区の旧工業高校の校舎で503人(2017年4月1日現在)が学んでいます。
駅前で雑貨店を開く女性(37)は「高校が戻ってきて、夕方や土日はよく部活動をしている高校生が駅前を歩いています。活気が戻ってきていると感じます」と、うれしそうに話しました。
課題解決に全力
小高区に7月中に戻る予定の日本共産党の渡部寛一市議は「小高区に予定されている官設民営スーパーの早期建設を他党の議員と力を合わせて求めていく。歯科医院は新たに開業の見通しです。入院施設の再開やゴミ収集の戸別収集など、多くの問題について今後も求めていきたい」と話しました。